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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
暗風編
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12-8 狸だからって


たぬきの体を奪ったティ。ます一匹じゃ空腹を満たせず、生焼けのすりをモグモグ。十分ではナイが腹拵はらごしらえをして歩き出す。


鵟がポトンしたのは、風の谷の東南口。北西口を出て、新しい巣へ戻ろうとしていた。


森に入ったのは古巣を鷲鵂わしみみずくに奪われ、『こりゃ勝てないわ』と新居に引っ越したバカリだったから。



移住ホヤホヤでドコに、どんな獲物がいるのかサッパリだったのよ。ご近所サンに挨拶しようにも鵟だもん。猛禽類だからさ、逃げられちゃうの。


『食われる』とか『お助けぇ』とか言いながら、一目散いちもくさんに。






「フゥ。」


この谷、ほかより高いな。大雨が降っても水が流れる事は無いのだろう。


「南へ行くか。」


谷を抜けても良いが、川沿いを上がれば何か見つかる。湖に流れ込む川は四つ。大きいの一つ、少し大きいの一つ、小さいの二つ。


狙うならビリビリが通ったのとは違う、もう一つの小さいの。


「食うぞォ。」


鱒と鵟では物足りない。






呼人山よびとやま。見えない誰かに呼ばれたり、アチコチから誰かに見張られている気がする事から、そう名付けられた。


獣や食べられる木の実、キノコが多いのに恐れられ、あまり人が近づかない。



『根の国に繋がっている』と噂されるが、そんなのタダの噂だよ。食べ物がイッパイあるのに山中に里も村もナイのは、この噂の所為せい




狩山かやま。標高は霧山や山越と同じだが、その大きさは三番手。山中のアチコチに鉱泉、それも冷泉と温泉が湧き出ている。


鉱泉塩、つまり鉱泉を蒸発させて得る塩を求め、狩り人や樵、忍びも水を汲みに来る。



コチラは山中に多くの里や村が点在し、助け合って暮らしている。『コワイと思うから怖いんだ』と腹を据えれば、呼人山でイロイロ狩れるからネ。






「ウニャウニャむしゃむしゃ。うっめぇ。」


山に入って狩り三昧ざんまい






狸は夜行性だが、分ティ入りなので問題ナシ。目を保護するため、闇で覆ってマス。


『長靴を履いた猫』がいるんだから、『サンバイザーをかぶった狸』がいてもオカシクない!



尾が太く、丸くて小さい耳をしたイヌ科の哺乳類。脚は短くて体はズングリとして見えるケド鱒同様、雑食性。


キツネと共に人を化かす動物として、民話ナドにも多く登場。月夜に腹鼓はらつづみポンポン、驚くとバタンキュゥ。ドコか間の抜けた印象を持たれるケド、違うからね。


人気者はツライよ。






「プゥ。食った食った。」


食っちゃ寝、食っちゃ寝を繰り返し、イイ感じに太った分ティィ。分ティ司令官、狸だからってプクプクし過ぎでは?


「チョックラ、チョイと出掛けてくるか。」


プリプリ魅惑の我儘ボディを揺らし、ノッソノッソと動き出す。


「そろそろ『四つ足から、二つ足へ』っと。」


考え事するなら、お散歩が一番。






お尻をプリンプリンしながら『どうすれば人に食わせられるか』、考えをグルグルと巡らせる分ティ狸ィ。チョクチョクつまみ食い。


飛び出してきた野鼠のねずみ土竜もぐらが『ナンデ』って顔して固まるんだモン、パクッとするよね。



鱒も鵟も人も何でも食べるんだ、難しく考える事は無い。と思う。


思うケド人は人。他の生き物とは違い、切ったり剥いたりする。それを煮たり焼いたり蒸したりして、フゥフゥしながら食べるのだ。


考えねば! モグモグ。


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