表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1082/1589

11-133 大事だァ!


また知らない人だらけの地に送られると知ったタラが、タエに『オレを共に生きてください』と求婚。


いきなりプロポーズされ、ポカンとしたのはタエだけじゃナイ。




「ナッ。」


前足で踏ん張り、驚くクル。


「エッ。」


ニュッとくびを伸ばし、固まるシナ。


「ハァ?」


九尾をピンと伸ばし、すごむフサ。


「若いなぁ。」


と言いながら見開く、野呂神のろのかみの使わしめピー。


「・・・・・・ピーさま、おにときから何か。」


瞬時に回復したフサが問う。


「ん? いや何も。」


昼担当のピーは土竜もぐらと鼠が大好き。


畑を中心に巡回しているが、野呂の子がわらを固く縛った棒でバンバン土を叩いて回るので、何となく森に来たダケ。


土竜打ちが終われば、戻るツモリだったヨ。






「えっと。」


戸惑うタエに優しく微笑むタラ。


「ユックリ考えて、それから聞かせて。ね?」


急いで先読を始めた。


えらんで選んでグルグル悩んで、また選び択んで末を見る。ハッとして選び直し、そして見た。大泉で、タラと幸せに暮らす姿を。


「・・・・・・はい。」


「オレ、待つよ。って、エッ。」


はにかむタエを見つめ、見開く。パァっと明るい顔になり、両の手を広げてニコリ。


「えっと、ん?」


コテンと首をかしげるタエ、そっと手を下ろすタラ。


そんな二人を見守る後見うしろみシナ、クル、フサ。その横でニヤニヤする、通りすがりの使わしめピー。


「帰ろうか。」


スッと手を差し伸べ、ニコリ。


「はい。」


その手を取って微笑む。






手を繋いで村に戻るタエとタラ。二人が『ただいま』と言って家に入ると、クルたちがピーに微笑みかける。ニコッとしたピー、影ポチャ。



「ヒャァッ。」


キョロキョロ。


「ピーさま。」


ハッ!


「山守の呪い祝、テイの闇について。ピーさまはドコまで。」


パチクリ。


「そうですか。」


ウンウン。


「私が消して無くした喰谷山くたにやまの闇、とりあえず『ティ』と呼びましょう。切ティは忙川せわしがわから烈川たけがわに流れたテイの闇が垂水洞たるみほらに入り込み、力を得ようと川を流れる他の闇をすくい上げ、取り込んでいました。」


フサの話を聞き、ポカァン。


「私が消して無くした梅の湖の闇。ティは切ティが掬いそこね、梅の湖に流れ込んだ闇を歌で呼び寄せ、取り込んだのでしょう。」


シナの話を聞き、くちばしが外れそうになる。


「私、滑川なめかわを下り見つけました。流離山なばやまにテイの闇が潜んで居ります。」


クルの話を聞き、止まり木からポトッと落ちた。




喰谷山と梅の湖に潜んでいたテイの闇は消えて無くなったが、流離山と望月湖もちづきのみずうみには残っている。まだ潜んでいる、消えずに残っている。


おお、大事おおごとだァ!




「私、急ぎやしろに戻らねば。」


羽をバタつかせ、トットと跳ねてフワッと飛び立つ。


「では、そろそろ。」


仲良く狐火に乗り、タエの元へ。



山守編でした。暗風編に続きます。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ