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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1073/1588

11-124 何も見てないよ


霧雲山ってコロコロ変わって、とっても先が読み難い。トモだっけ? おさせがれ。こんなの見なかった。




「ただいま、タエ。」


トモが土に埋まってた。きっとアレ、タエを守ってる犬たちが力をふるったんだ。


「おかえり、タラ。」


いつもより戻るのが早いケド、何か有ったのかな。


「カノシシを狩ってたら兎が出てきてね、ビックリしたのか木に頭をゴン。ほら、この通り。」




タエをヒロに託して良かった。年が近いがタラは男の子、やしろでって話も有ったんだよ。




「カァ、カァカァ。」 カエルヨ、ツイトイデ。


ビクッ。


「アレは山烏。平良ひらの烏でも山越烏でもナイよ。」


「そう、なの?」


「うん。」


タエ、きっと怖いんだ。祝辺はふりべや山守から悪いのが来て、連れてかれると思ってる。


野呂は鷲の目を遣る代わりに、祝辺に人を送らないんだ。もし山守のが来ても追っ払うよ。そうだ、夕餉を作る時に話そう。


少しは心が軽くなるカナ。






「おやタラ、早いね。」


「はい、ミオさま。大きなカノシシを狩りました。アッチでさばいてますよ。」


「あら嬉しい。私、好きなのよカノシシ肉。初めは焼き立てをバクッ。残りを干し肉にして、うふふ。」


社の司は肉食系?


「タエはカノシシと兎、どっちが好き?」


「シシ肉も好きだけど、兎かな。」


「オレもだよ。」




うんうん、仲良しだね。なんだか眩しい。ってエッ、ミオさま。何を仕留めたの・・・・・・。


♪見たよ 忘れます 何にも見てないよ、カァカァ♪




「クッ、気付かれたか。良い衣を着ていた娘、野呂の子ではナイ。野呂の社の司はオソロシイからね、手は出さんよ。クックック。」


人差し指だけ伸ばし、タンタンタンと拍子を刻むコチラの男。十六代祝辺の守、セノ。暫くの間、獣の目と耳を通して探る力を持つ元、祝人はふりと頭です。


「セノよ、悪い顔で何をした。」


「こんにちは、とつ守。」


ニッコォ。


「ドコに飛ばし、何を見た。」


「クックック。木のざわめきに私、ワクワクしてしまいます。」


ジィィッ。


「野呂に鷲を飛ばし、外から来た娘を見つけました。が騒いでいた子ではアリマセンね。強い『何か』を感じましたが狐憑きですよ、あの子。丸焼きになりたくナイので私、言われても何も致しません。」


狐火の前に氷の玉が飛んできたので、目も耳も焼かれずに済みました。ホッ。


「野呂と野比には飛ばすな。」


「ハイ、明里あかりに飛ばします。なぁんちゃって。」


「セノ、休みなさい。痛痛しくて見てイラレナイ。」




あの子、どうやって霧雲山に入ったのだろう。


山守の呪い祝を捕らえる前? 狸も狐もコワイけど、あの狐は迷わないよ。狐火一つで山守を崩せるね。ブルル。


穏やかで和やかな暮らしのため、祝辺と山守を守ります。お休みなさい。スピィィ。




「タタ、答えなさい。この鷲、ミオが落したのか。」


「ワタシ、ナニモミテナイヨ。」


全力でとぼける倅に父、脱力。


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