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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
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11-118 帰りますよ


人の守だった時、平良ひらに『離れたトコロのドコに何があるか、言い当てる男がいる』と聞き、それはもう喜んだ。


その男には祝の力がある。思い通りに動かし、役に立つよう用いようと考えたのだ。



平良は祝辺はふりべが治めている。触れた木や苗の実りを豊かにする力を持つうましはチョクチョク行っていたので、が訪れてもオカシクない。


めぐに『近づこうともシナカッタのに』と言われたが、『気になる事があるので』と押し通す。八は力をふるい、キノを祝辺へ連れ帰った。



祝人はふりととして迎えられたキノは、八にアレコレ教わる。はたから見ても不慣れで、ぎこちなかった。けれどキノが望むので、誰も何も言えない。


八がキノを人の守に推した時に思う。『おにの守になっても扱き使おうと考えている』と。『キノを認め、薦めたのでは無い』と。



人の守になったキノと話すうち、ひとつ守はオカシイと思った。


『子に死なれ妻にも死なれ、祝辺に来た』と言うが、平良で人がバタバタ死ぬ話なんて聞いた事がない。


闇の力で捻じ曲げられているならのでは? と思い、清めの力を揮う。



元に戻ったのに、八はキノに付き纏った。


酷く嫌われているのに、ずっと。人の守から隠の守になってもベッタリ、見張るように。






「違う。違う違う違う、この子じゃない。」


あのキノが見つけたんだ、強い力を生まれ持つ子に違い無い。なのに何だコイツは。


「そう言われましても。」


シバが呆れながら、一言。


「私がかかえて来たのは、この子ですよ。」


ソウが言い切る。


「ワン。」 ソウダゾ。


チビが一吠え。


「ナッ、シッシ。」


蹴り飛ばそうとしたが、思いとどまる。睨むシバも怖いが、止まり木からジッと見つめるカンが恐ろしくてたまらない。






「私ノブの、この子の母です。ソックリでしょう?」


ドコからドウみても親子です。


「谷河の子ですよ。」


祝に言われ、キッと睨む八をアタが縛った。


「戻りましょう。」


「黙れ、タカ。」


忘れちゃイケナイ。止めに入ったタカは谷河生まれ、谷山育ちの隠の守。その後ろには犬鷲の隠と、熊鷹の隠が待機してマス。


二隠とも本気ですヨ。


「いいえ黙りません。ノブは谷河の子、祝の力などアリマセン。足をくじいて歩けなくなったから、抱っこされたのよね。」


タカに問われ、ノブがコクンと頷いた。


「ほら。ね、帰りましょう。」


タカは狩り人の娘。親無しになったタカを引き取り、育ててくれた伯父も狩り人。腕力は弱いケド、握力には自信があります。


「強い力を持つ子を、どこかに隠しているのだぞ。」


諦めの悪い八の腕をグッと掴み、ギロリ。


「あの、もしもぉし。聞こえますか? 小出こいでの社憑き、夜光よひです。卵、若虫わかむしさなぎも光る蛍です。どうぞよろしく。」


源氏蛍の妖怪がノブの手の上で、ピカピカ発光しながら自己紹介。


「・・・・・・エッ。」


「ほら、帰りますよ。」


グイグイ。


「いや、エッ。」


「強い力を持っていたのは子ではナク、小出社こいでのやしろの夜光さまデス。夏の熊は腹ペコですからね。犬と鷲を連れた狩り人に守られていても『危ない』とおぼし召し、社憑きを御付け遊ばしたのでしょう。」


「ハイ、その通りです。」


ピッカァ。


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