表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1065/1587

11-116 あの山に入れば


霧雲山に強い力を持つ『誰か』が入った。平良ひらを飛ばしたが『霧が濃くなり、何も見つけられなかった』と。


烏は烏でも平良だぞ、平良。どうする。



の事は気に入らんが霧雲山を、霧雲山の統べる地を守るには要る。親から子へ受け継がれる力、世を隔てて受け継がれる力、強い力が多く要るのだ。






「フゥゥ、どうしたモノか。」


オカシイ。南のふもとから西へ、少しづつ上がっている。このまま進めば冷気山ひけやまに・・・・・・入る気なのか。


あの山に入れば、迷い込めば命が無いぞ。


「そうか、だからか。」




谷河たにかわおさ集谷長あだにおさも兼ねている。


集谷臣あだにおみでもある忍路おしょろの長は若いのを放ち、御山のアチコチを調べ回っているのだ。狙いは祝辺はふりべ



谷河の狩り人は祝辺の守に認められた救い人。それを支える鷲巣わしずも、鳥を放ってイロイロと。


ハッ、集谷社あだにのやしろには守りの力、闇の力を持つ祝も居るのだろう。おにの守をはじき、私の力も弾き、遠ざけるとは。




「アタ、頼みがある。」



気乗りシナイなぁ。谷河の狩り人なんて、アッチコッチに居ますよね。ソレを全て? キノさま、分かってナイ。


ヤツらが連れてる鷲、鷲巣生まれ。ヤツらが持ってる札、忍路おしょろも持ってる。谷河か忍路かナンテ見分けられまセン。



「キノさま。その狩り人、鳥連れですか。」


「あぁ、連れてる。」


「私が糸を伸ばしても、直ぐに切られるでしょう。それでも伸ばしますか。」




麓から北を目指さず、西に進んだ。少しづつ上がってきている。霧が濃くなった。コレどう考えても谷河社たにかわのやしろ、集谷社も動いたってコトだよ。


霧を出したのは谷河の祝。集谷には守りに闇、先読の力を持つのも居る。



集谷山から谷河が無くならないと、祝辺の守でも手が出せないんだ。あの山には忍びでもナイのに強いのが多いし、何より知り過ぎている。


なのにコチラは何も、何にも分からない。




「アレが集谷、いや冷気山に入る前に捕らえなければ。捕らえられなければ逃げられる。」


谷河なら社を通して、連れ帰った子を調べられる。が、調べられるダケ。『寄越せ』『渡せ』と言っても断られるだろう。


集谷には、破れない膜を張るのが居るんだ。手も足も出ない。


「そうですね。」


いやいや、良く考えて。谷河の狩り人は昔、祝辺の守から『山裾の地から逃げ出した人たちを見つけ、助けるように』と命じられたんだよ。


連れ帰ったって事は釜戸山にも乱雲山にも託せない、どうしても守らなきゃイケナイ子だよね。きっと。


そんな子を攫う? じゃなくて捕らえようなんてさ、狂っているとしか思えない。


「イヤなのか。」


ハイ。


「頼む。」


イヤです、諦めて。


「この通り。」


・・・・・・コレ、断れないヤツだ。




冷気山には集谷川あだにがわが流れ込むほらが在り、麓に繋がっている。噂だと思っていたがまことだったのか。


霧に阻まれたとはいえ、祝の力を揮ったのだぞ。なのに追えなかった。見失った、逃してしまった!



アタの糸はブチブチ切られ、光の玉は木の上でポシャン。


そりゃ届かんよ。道は道でも、ヤツらが通ったのは獣道。鳥と犬を連れた男が二人、子を抱えて進むにはつらかろうに。




「キノさま。」


「ありがとう、アタ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ