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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1059/1588

11-110 いつの間に


がチアノーゼになったのは、いつ守の所為せい



いつ守は日光か月光で空間を仕切り、封鎖する闇の力を持つ元、祝人はふりと頭。


山守村の出である事を理由に、人の守就任を固辞するも認められず、渋り渋り申し入れを受諾する。



他の子と違うと気付いたのは五つの時。


もしコレが祝の力なら何をされるか、何をさせられるか分からない。死んでたまるか! と望日もちのひを待って鎮森しづめもりに入り、コッソリ確かめ心に決めた。


親にも言わず、祝辺はふりべへ行こうと。






「いつ守、少しよろしいか。」


「おや、とつ守。何でしょう。」



稲の育ちが悪いとは思いましたが、そうですか。テイの闇ですか。八を締め上げる前に急ぎ、大祓おおはらえの儀を執り行いましょう。


オットその前に、他ではドウなのか確かめねば。



谷河たにかわより野比、野呂が良いでしょう。」


急がぬなら谷河の狩り人、急ぐなら忍び。


「そうですね。」


このたびは急ぎだ、平良ひらを。


「御山の内なら闇の力と清めの力で。」


ふたつ守、みつ守、よつ守で囲み、ひとつ守、ななつ守、やつ守が力を合わせる。


「統べる地を清めるならおにの守でグルっと囲み、山守神やまもりのかみに御清めいただく。」


天つ国と根の国へは隠のとき和山社なぎやまのやしろに御任せするより他ない。人の世、囲みは名呼びで支えは我ら。


「私は野呂、とつ守は野比へ。」


「はい。平良、こちらへ。」


「カァ。」 オヨビデショウカ。


いつ守に呼ばれ、二羽の烏が舞い降りた。いつ守を乗せた平良は野呂、とつ守を乗せた平良は野比へ急ぐ。



ちなみに祝社はふりのやしろには隠烏と呼ばれる、隠になった平良の烏が詰めている。


社憑きではナイので毎朝、平良から交代で二羽出勤。鎮森で待機中の烏を必要数、呼び寄せるのが仕事デス。



「ひとつ守、少し宜しいか。」


いつ守が声を掛け、ニコリ。


「はい。どうぞ、こちらへ。」



テイの闇が御山の中で広がっている? 稲の育ちが悪い事には気付いていました。けれど、それが呪いだったとは。ハァ、困りましたね。



大蛇神おろちのかみが御姿を現されたと聞いた時も驚きましたが、この事を御調べ遊ばしたのでしょう。


テイの闇が水に溶け出したのです。近いウチに稲の他にも及び、力を奪われる。そうなれば食べ物に困り、恐ろしい事になります。



「ひとつ守。八の事、どう為さる御積りで。」


いつ守が急かす。


「祝辺のひとやに入れ大祓ののち、裁きましょうか。」


「八を獄に入れる前にザクリと、むつ守に切り離してもらいましょう。」


とつ守がニコニコしながら、恐ろしい事を平然と言って退けた。


「とつ守は狐が、大蛇神の使い狐が目を輝かせ、飛び去るのを見たのです。急ぎ動かねば。」


いつ守が追い打ちをかけ、とつ守が頷く。




良山よいやまには大蛇神のめぐし子が居る。その良山を八は、山裾の地で暮らすいくさ好きに襲わせようと考えた。


企みは狐を通し、大蛇神の御耳へ。



八よ、祝辺を潰す気か。奥津城おくつきに叩き込まれたいのか。


あぁ、頭が痛い。クラクラしてきた。




「切るなら手足、胴も切りましょう。」


「むつ守? いつの間に。」


「はじめから。いつ守の後ろに、ずっと居りましたヨ。ね、とつ守。」


「はい。」


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