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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1042/1587

11-93 宜しいのですか


人のもり祝社はふりのやしろの継ぐ子の中から選ばれた、祝の力を生まれ持つ人。霧雲山の統べる地の、人のおさでもある。


おにの守は元、人の守。死後、祝の力を保持したまま隠となる。つまり人の守が弱ければ、隠になっても弱いまま。



前から継ぐ子の力が弱まっていた。だから社憑きを放ち、強い力を生まれ持つ子を探し求める。


霧雲山の統べる地で生まれ育った子なら、どんな力でも構わない。そう考え動き始めた時、釜戸社かまどのやしろが北山から『祝の力を生まれ持つ子を救い出した』と耳にした。



まとめて祝辺はふりべに迎え、祝社で育てるツモリだったのに!


釜戸の祝は社を通して問い合わせた。ゆかりの者は生きているか、引き取れそうか。死に絶えていたら社で、継ぐ子として引き取れるかと。



ミヨ、タマは玉置の国、宝玉社たかたまのやしろ。タエは飯田の国、茅野社かやののやしろ。マルは早稲わさの生き残りが釜戸の祝に許され、新しく良山よいやまに作った良村よいむらに居る。


奪いたくても奪えない、引き取りたくても引き取れない、連れ去れない。



マルは大蛇神おろちのかみめぐし子だ、手の足も出ないがタエは違う。茅野から良村に預けられ、落ち着いたハズ。


十二になる前に山守で無くても良い。野呂のろ野比のび、大泉、鎮野しづめのを除く霧雲山のドコかの山に入れば、イケル。






「と、悪い顔してブツブツ言ってました。」


隠のとき流山ながれやま在住。『劇団コンコン』座長、嫌呂きろろ


「名は分かりませんが、とつ守が見張ってました。」


同じく。『劇団コンコン』看板役者、悪鬼おき


「雲が『ヤメ』『ヤノヤツ』と言っていたので、『ヤ』だと思います。」


嫌呂がモフンと胸を張る。隣で悪鬼が目を輝かせ、控え目に拍手。ポムポムポム。


「そうか、か。」


不安を増幅させ、心を操る力を持つ十三代、祝辺の守。


前からアヤシイと思っていたが、ハァ。ひとつ守に任せるが、イザとなれば奥津城おくつきに。


「大蛇神。」


コンコンず、キュルン。


「良く働いてくれた。ありがとう。」


瓜坊のもも肉に塩を擦り込み、一月ひとつきほど寒風にさらした『美味おいしいの』を一塊ひとかたまり、ポンと差し出されドキリ。


「よっよっ、よろしいのですか。」


生ハムを前にコンコンず、ゴクリ。


「ウム。コッコからもろうたが、良村の子が分けて食べるには少ない。傷む前に貰うてくれ。」


「ありがとうございます。」






子狐の川の、源の泉のほとりにある狐泉社きつねいずみのやしろ。九尾の黒狐、愛称コッコが守る泉はモフモフ天国。


泉の南に狩猟小屋はあるが平地が少ないので人里は無く、安心して子育て出来ると若い獣に大人気。



黒狐神の使わしめ、チイは闇移動と闇操作を得意とする黒犲。高い隠密スキルと闇耐性を誇る、お肉大好き妖怪なのだ。


はぐれプリプリ肉、コホン。矢が刺さったまま死を待つ瓜坊を放っておけず、親元へ送った。で残りをルンルンで処理し、食べ頃になると御供え。



コッコは妖齢、千年以上。どんなに美味しくても食べきれない。そこで飲み友である大蛇に裾分けし、良村の人に食べてもらおうと考えた。


嫌呂と悪鬼が報酬として得たハムは、その一部である。






「さぁて、どうしたモノか。」


小出社こいでのやしろにて、小出神こいでのかみからうかがった話。コンコン情報。谷河神たにかわのかみが使わしめ、社憑きに集めさせたアレコレ。


全て合わせて考えると、祝辺は本気でマルとタエを狙っている。



マルは我の愛し子、そうそう手を出せぬ。が、タエは違う。


生まれは添野だが茅野に預けられ、良山に入った。許し無く入れば使わしめでも消えて無くなる山だ、外から見張り続けているハズ。


「・・・・・・消すか。」


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