表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1039/1591

11-90 忘れない


王が捕らえられて直ぐ叔父、一家も側妃にえん罪をかけられ、幽閉された。



両親は拷問の末、幼い弟は栄養失調で落命。


嫁いだ姉は離縁され、娘を連れて逃げたトカ。義兄とおいは戦死、姉とめいを切り捨てたアッチの親は発狂。側妃を襲い、一族郎党に難が及ぶ。


結果、名家だったが没落。断絶したらしい。



劣悪な環境下でも諦めず、狭い獄中を歩き回って筋力の衰えを抑えていたのは復讐するため。


生き別れた姉、姪の幸福を願う事で正気を保てた。『まだ死ねない』『死んでたまるか』とおのを鼓舞しながら。






「私は当代から王位を奪い『雷獣の、雷獣による、雷獣のための政治』を行います。の政策を見直し、雷獣の生命と財産を守ります。」


・・・・・・パチクリ。


「歖王には休養が必要です。安全で衛生的な、風通しの良い部屋に転居させ、王母の菩提ぼだいとむらわせましょう。」



歖は使い物にナラナイので退位させ、座敷牢に幽閉。


表向きは病気療養、出家遁世しゅっけとんせいあるいは蟄居ちっきょか。適当な理由をつけて排斥はいせきし、組織改革に着手すると。



白澤はくたくさま。」



何で? ってオレ神獣か。


ながれはリビア猫だし、やまと国つ神の使わしめ。ココで頼るなら中国妖怪のドンで特権階級妖怪、瑞祥ズ一択だよね。



きに計らえ。」



道義的に正しく、善であれ。


歖らと同じ事やからしたら首チョンパするぞ。ですよね、流サン。



「流さま。即位後になりますが『巻物』に手形を押す事、御許し願いたく。」


自ら申し出るとはコヤツ、なかなか見所みどころの有る若者だ。面白い。


「先ず全ての雷獣を集め、譲位の儀を執行せよ。天帝に謁見を賜り、白澤からも許可を得た事を報告。白龒!」


エッ。


「ソレで隠れているツモリか。」


出てるんだよ、ひげが。


「お久しぶりです。」


シュルシュル。






盗み聞き? 違いますよ。りゅうは雲を起こして雨を呼ぶので『晴れてた方が良いカナ』と思い、離れてマシタ。


ちなみに五龒では金担当。良く人語を話し、万物の情に通じる天帝の使いデス。



別にイイんだけど扱い、雑だよね。龒は大海原や地の底で暮らし、雨雲を統べる力を持つ半神だよ。


幾ら猫又の大妖怪だからって・・・・・・やっ、めて。シャキンって爪だすの。



申し訳ありません。私が悪う御座いました。もう言いませんってアレ? 声に出てたカナ。






「そうか。」


新王となったらいは賢王として歴史に名を遺す獅の弟、慈の嫡男。



獅も慈も正妃腹、兄弟仲も良かった。


おみとして兄に支えたが崩御後、相談役として甥に仕える。側妃の陰謀により捕縛され、己の命と引き換えに家族を守り死亡。


しかし反故にされ、嫡男以外は獄中死。



「靁は慈の子だ。歖と同じ過ちは犯すまい。」



是は正妃腹で幼少期から優秀。側腹だった歖は癇癪持ちで飽きっぽく、是と比較され続け被害妄想になる。


獅は歖の将来に不安を抱き、体術と作法を叩き込んだ。



獅と慈は万が一に備え、靁にも帝王学を修めさせる。


是と靁は互いに切磋琢磨したが、歖はサボりの常習犯。講義に出席してもうわの空。



「可能な限り、支えよう。」


死者の影に怯え、母の骸に縋って嘆き続ける歖に見切りをつけた臣により、出獄した靁は忘れない。


冤罪により処刑された王の死を喜ぶ、愚かな雷獣の声を。獄中で慈と靁の無罪を主張し、戦い続けた是王の雄姿を。命を懸けて家族を救おうとした父、慈の思いを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ