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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1037/1588

11-88 急ぎ動かねば


おのを切り取り、石室いしむろに隠していたテイの一部を回収。すみやかに祝辺はふりべに持ち込まれ、本体とは違うひとやに幽閉される。



本体が納められた壺には予備が二つあるが、分身が納められた壺に予備は無い。が心配無用。


白泉社しらいずみのやしろの祝が作った『清めの壺』に、靄山社もやまのやしろの祝がり合わせた『糸の水』が入っているのだ。


落したり何かがち当たって割れても、中身が飛び出す事は無い。



壺の欠片かけらに引っ付いて、離れないから。






「私は雷獣のむくろ天獄てんごくに持ち込み、天帝と話を付けます。」


にこやかに話しかけるながれ。目はギランと光ってるケド、爪は引っ込めてマス。


「はイ。」


ビビる人の守。コロンと声が裏返るも、何とか踏ん張った。エライ!


「では私、和山社なぎやまのやしろへ参ります。」


真直ますぐがニコリ。


「なら私は、杵築大社きづきのおおやしろへ。」


シズエもニコリ。






ちょっと、チョットちょっとチョット待って。


エッ何、何で和山社? 人のときで起きた事なんだから、隠の世に御知らせする事ナイよね。



杵築大社は分かりますよ、人の世で起きた事ですから。山越ですし、霧雲山の統べる地ですし、山守神の使わしめが御伝えしますよね。



雷獣だっけ、その生き物。


死んでるから生きてナイ、骸だ。で、そう『倭漢講和条約』。ソレに引っ掛かるからテンゴク? テンテイ? 話し合うんですね。



はい、お願いします。お任せします。でも和山社は違いますよね、違うと思い・・・・・・ます。






「人の守。」


「はイ、流さま。」


「テイは己を切り取り輪の外に隠した。神の御坐おわす山は大祓おおはらえを執り行い、清められて居る。が山越のように社の無い山、たいらのように神が御隠れ遊ばした地は危うい。」


ドキッ。


坦神たいらのかみは御隠れ遊ばしたが、アラとミヲは人の世に残った。二妖とも山守を酷く嫌って居る。テイは言うまでも無く、山守の民から命を奪う。」


「はい。土や石の川に呑まれ、消えた里や村は坦の他にも御座います。おにの守を集め、輪の外を調べますので御待ちください。」






坦山は長瀬山と同じく山が崩れ、流れ流れて平たくなった。長瀬山は大きかったので流山ながれやまとなったが、坦山は谷を埋めて平地となる。


昔は頂に村と社が在ったが今は森となり、多くの獣が暮らしている。



坦社たいらのやしろは山守と祝辺が割れた時に発生した山崩れにより流され、現在地に埋没。


山神で在らせられた坦神たいらのかみは、山崩れで多くの命が奪われると同時に溢れた闇を清めるため、使わしめアラを放ってから全ての魂を清めて御隠れ遊ばした。



犲の妖怪アラは山崩れにより失われた命と魂を救うため、放たれた後も坦神と行動を共にする。


浄化終了後『人の世に残って山守から坦の地を守り続ける』と誓い、現在に至る。



ミヲは清めの力を持つ、坦社の祝だった。


社の離れで機織り中に地が揺れ横転。が胸に刺さった直後、倒れてきた柱が後頭部を直撃し死亡。


山崩れにより生き埋めになった人のうめき声、助けを求める声を聞き己の無力さを痛感。闇堕ちし妖怪となる。



清めの力は失ったが肺を包んで圧迫し、窒息させる闇の力を得た事で、鎮守しづめもりとして人の世に残る事を選んだ。






「言わずとも分かると思うが、坦には近づくな。」


「ハッ。」


だから山守神の使わしめ、シズエさまが和山社へ。真直さまが出雲に着く前に、急ぎ動かねば大事おおごとになる。


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