表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1015/1588

11-66 分離成功


そんな!


でも、そうね。テイを山守の祝から引き剥がし、納めるつぼが手に入った。コレを使えばテイを、呪い祝を閉じ込められる。やっと、やっと。



喜ぶのは早いわ。壺は三つある、けれどシッカリ整えなくては。


分け離すのは難しく、とても危ない。おには死なないダケで痛いのよ、苦しいのよ、のたうち回るのよ、隠でも。




「皆さん、聞いてください。」


人の守が隠の守を集め、作戦内容を伝える。失敗は許されない。






カク、カクカクカク。


「アギラメナイ。」


カクカクカクン。


「ジナナイ。」


カクン、ドサッ。


奪いに奪った祝の力が、あれダケあった祝の力が少ししか残っていない。全て使えば死ぬ、消える。何とかココから出なければ。


「ヴッ、バナゼ。」


このうつわの主は死んだ、死んだハズなのに離れられない。


「ナニヲ、ナニガ。」


コイツの狙いは私を清める事、消して無くす事。おのの体がボロボロになっても、ガタガタになっても考えを変えない。


変えようとも思わない。


「ジンデダマルガァァ。」


ゴキッ。


とうとう首の骨が折れた。なのに聞こえる、頭に響く。


「諦めなさい、テイ。どんなに暴れても放しませんよ。」


「ギャァァッ。」


壁に頭を打ち付けたいのに、思うように動かない。首の骨が折れているから。


「オガジイ、オガジイダロウ。」


確かにオカシイ。なぜ話せる、叫べる、嘆ける。


「どんなに呪っても幸せになれない。どんなに奪っても満たされない。もう解っているでしょう、テイ。」


「ダマレ、ダマレダマレダマレ。」


「私は隠にはなれず、根の国へも行けないでしょう。でも良いのです。山守から呪い祝を消せる、皆を守れるのですから。」


「ジナナイ、ジナナイジナナイ。」


「死んだのですよ、ずっと前に。呪い祝となり、死んだのです。」


「ジナナイ、ジンデダマルガ。」


「死んでも生きたかったのですか。」


「アタリマエダ。」


「ならナゼ『祝辺はふりべの継ぐ子になりたい』と、社を通して申し出なかったのです?」


そうだ、そうすれば良かった。人の守が死ねば隠の守になる。人の守に選ばれなくても、認められれば社憑きに。






ベリッ。ベリベリベリ、ベリッ。ポイッ、キュキュッ。


「・・・・・・エッ。」


暗いのは同じだが狭い、狭すぎる。


ココはドコだ。オイ祝、何とか言え祝。居るんだろう、頭の中に居るんだろう。分かっているんだぞ。


フニャン。


「な、んだ。何だ、この体は。」


手も足も無い、黒いモヤ。ドロンとしているのに形が有る。


まばたきも出来ない、だと。」


壺のようなトコロでクルクルと。


「壺の、中なのか。」






テイに体を奪われ、死んでしまったヨキ。むくろを整えてから手を合わせ、ひとつ守が清めた。


呪い祝に乗っ取られ、その身に縛り付けたのだ。隠になれても、もう山守には戻れない。



「骸を山守に帰すか、焼いて残った骨を壺に入れて戻すか。山守に帰さず鎮森しづめもりに埋めるか。皆で考えましょう。」


人の守が切り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ