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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1014/1586

11-65 嫌でも動いてもらうぞ


どどっ、どうしよう。落ち着け、落ち着くんだ。




「ひとつ守。大蛇神おろちのかみが御越し遊ばしました。」


ヒョエッ。


「イま行く。」


声がコロン。






・・・・・・話には聞いていたが、ココまでの力を持つとは思わなんだ。


『山守に関わらない』野比、『祝辺はふりべに人を送らない』野呂。どちらも忍びを送り遣わし、山守と祝辺を探り見張っている。


大泉や鎮野しづめのもオソロシイが、コチラもナカナカ。




「手を出すなよ。」


ビクッ。


「落せば割れるぞ。」


「はィ、キをつけマス。」


声はコロコロ転がすが、うつわはシッカリ持っている。


月の光を蓄えた粘土が取れるのは闇夜だけ。コレを割ったら、次の闇夜まで待つ事になるが・・・・・・。


「壺も蓋も三つづつ。テイを閉じ込めた後、どうする。」


「はイ。祝辺ノひとやニ、他かラ離しテ置キまス。倒レ無いヨウにシッカと、平たク大キな板ニ乗せテ。」


ゴクリ。


「ホウ。で。」


「先見ノ祝ト先読ノ祝ガ祝辺ニ、ゴクリ。いつの日か清メと守リの力を持ツ祝が生まレ、祝辺ニ逃げ込ムと。」


目を白黒させながら、ひとつ守が言い切った。


おにの守には清め、守りの力を持つ者も居ろう。なのにナゼ待つ。」


ソレハ、ソノ。


めぐシ子」


「断る。」


デスヨネ。






フッ。ひとつ守は隠が良いとも言うが、ハッキリ言って甘い。


大蛇神は愛し子を守るため、牙滝社きばたきのやしろを御出に為られた隠神で在らせられる。少し考えれば解ろう。


鎮野と大泉を守るためなら動かれるが、山守が崩れても捨て置かれるわ。




「荒れるな。」


とつ守が空を見上げ、呟いた。


「ザワザワ、ザワザワザワ。」 キヲツケテ、オオアナガヒライタヨ。


「大穴?」


「ザワザワザワ。」 チノシタニアルンダヨ。 


「教えてくれて、ありがとう。」


「サラサラ。」 ドウイタシマシテ。






十代祝辺の守は草木の声が聞こえる隠で、鎮森の民に寄り添っている。霧山社きりやまのやしろの継ぐ子だったが九代祝辺の守に望まれ、祝社はふりのやしろに入った。


ちなみに九代祝辺の守は先読の力を持つ元、継ぐ子。とつ守を祝辺へ迎えた事で親代わりとなり、隠になっても世話を焼いている。




「さぁて、動くか。」


鎮森の民が気付き始めた。祝辺の獄に手を入れねばドウなるか、隠のときに届けばドウなるか伝えよう。


嫌でも動いてもらうぞ、人の守。


「ん、この感じ。」


屈んでてのひらを土に当て、ジッと待つ。


「近いな。」


がオカシイ。輪の中に雷が落ちたのは、ずっと前の夜。なのにナゼ地を伝い、ビリビリするんだ?


「外か。」


輪の外なら、いや待て待て。霧雲山には大きな湖が多いが、山守には・・・・・・。


「地の下にある大穴。」


水は底に溜まる。霧雲山は水の山、水筋がアチコチで繋がり、大きな流れとなって噴き出している。


大穴の上に空きがあって、雷を出せる何かが住み着いていたら。



「急ぐか。」


テイを引き剝がし、地の中を調べなければ。


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