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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1009/1591

11-60 姿が変わっても


明里あかりおにの国だがおさは人、それも女だ。


里でも村でも国でも同じ。守りが弱くても暮らし易いから子が増えて、少しづつ豊かになる。



明里王あかりのきみは隠なのに物に触れられ、人とも話せる神で在らせられる。使わしめもソウなのは神の御力か?



明里は悪取神あとりのかみの御力で守られている。だから他から仕掛けられても退けるし、攻められてもシッカリ守れる強い国。



良村よいむらがある良山よいやまから遠く流れているが、社を通してドウコウする気は無い。


オレたちが付き合うのは人、神でも社でも無いからな。






「良村に忍びは居ないが、良村の人に『忍びと同じ事を』求めない。忍びが知らない事を知っているのは驚いたケド、隠さず伝えてくれた。」


雲がニコリ。


「南でいくさが多いのは海が近いから。川を上って攻めてきても、ココに来る前に片付ける。」


月もニッコニコ。


「今すぐドウコウって事は無さそうだ。けど、椎の川には気を付けよう。」


ふくろうもニッコリ。


「山守の呪い祝、テイはシブトイ。」


「そうだな。南で闇か何かを仕入れ、取り込めばドウなるか。」


木菟ずくと鷲の目がポツリ。


「そうなる前に動こう。」


ひのが言い切った。


「そろそろ潜り影が戻る。『耶万やまの夢』を作っている今井、久本。人が居なくなった井上、安井を調べると言っていた。」


影が微笑む。


あかうた、ウチが一人づつ送って悦、うね、大野、光江、安を調べている。そろそろ戻るハズだ。」


毒嵓どくらが言い、緋と謡が頷く。


「テイを閉じ込めるまで『祝の力』を持つ子を山から出さぬよう、戻り伝えよ。」


「ハッ。」


一同、大蛇おろちに平伏す。






カクン。


「オカシイ。」


カクッ、カクン。


「何か、いや何もかもがオカシイ。」






祝辺はふりべひとやに入れられ死んだ、いや殺してきた人のナニカに責め立てられ、うつわが歪んで壊れた。


なのに動けない。


器の主であるヨキがテイに噛みつき、手足で巻き絡めて離さないから。



逃げたい、逃げ出したい。出たい、飛び出したい。放せ、離れろ!


のどから血が出るまで叫んでも、骨が砕けるまで暴れても放してくれない、離れない。どうなっている。


祝辺の獄だからか、隠になっても・・・・・・。






「ハッ、そうか。」


カクカク、カクン。


「隠の祝に、違う。触れられるから妖怪の、妖怪の祝になったのか。」


カクカクカクッ。


「ソウかソウか、アハハハハ。」


カクカクカクカク、ズルッ。


「やった、やったぞ。出られる、出られる!」


ドンッ。シュワァァ。


「ギャァァ。」






たとえ朽ち果てても、消えて無くなってもテイ。ヌシの思うようにサセナイ。全て整うまで、私とココで待て。



「ニガサヌ、ニガサヌゾ。」


「放せ、離れろぉぉ。」


「テイ、ナゼノロウ。」


黒かった髪が真っ白に、艶やかだった肌はカサカサに。


「黙れ黙れ。喉が潰れたハズなのに、なぜ声が出る。」


「フフッ、ふふふふふ。」




山守社やまもりのやしろ祝人頭はふりとがしらとしてシッカリ務め、祝に選ばれた男は残された務めを果たす。


その姿が変わっても。


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