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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1007/1589

11-58 今のトコロ


木菟ずくと鷲の目は霧雲山の統べる地から出ない、いや出られない。


あかうた毒嵓どくらは基本的に専守防衛。心消こけし、月、ひのふくろうは遠出もするが、輪番りんばんで単身赴任。行動範囲が広いのは雲だけ。


その雲が『エッ!』と叫んだのだ。他の忍びが驚くのは当たり前。






「シゲ。その舟が入った川、ドコへ繋がっているか教えてくれないか。」


深呼吸した雲が問うた。


「名までは・・・・・・。けど里も村も守りを固めて、国から隠れるように暮らしている。ずっと先に耶万やまに滅ぼされた安井がある。」


「うわぁ。」


毒嵓が嫌そうな顔をした。






いわおは薬に詳しい。


毒も薬になるので新しい毒を求め、強い毒で滅ぼされた地へ出向く。行くのはモチロン毒嵓で、嵓の人は里から出ない。



毒嵓だって、言えないような事をイロイロしている。


奪うため、勝つために毒を使う里とか村とか国を悪く言う気は無い。いや有るが何も言えない。その毒嵓がドン引きする国の一つが、耶万に滅ぼされた安井。






「安井って耶万に張り合おうとうね、安と組んだのに裏切られて滅んだ大国おおくにだろ?」


「生き残りは耶万の夢を強めるのに使われ、死に絶えたんだよな。」


「残った家とか使えそうなのは加津の国守がバラバラにして、ゴッソリ谷西たにしへ運んだトカ。」


「そうそう。でも大国だろ、取り残しとかさ。」


「有りそうだな。」


影、雲、月、桧、梟が頷く。


「ずっと前の話だが、里長さとおさから聞いた事がある。『安井には心が無い。人で無しの国だ』と。」


暗殺専門の忍び、緋がポツリ。


「ウチの大婆おおばばも言っていた。『安井で仕入れた話は信じるな。アレは息をするように嘘をき、笑いながら命を奪う』と。」


諜報活動に特化している謡が、ハッキリと伝える。


「その通り。井上を滅ぼしたのは耶万だが、裏でアレコレ仕組んだのは安井さ。里や村なら毒を使い、国なら他に攻めさせる。」


嵓も毒を使うが、つるんで滅ぼす事は無い。上木や良村よいむらと結んだ事で考えを改め、里を守るためにだけ毒を使うようになった。


・・・・・・昔はアレだし、無かった事にも出来ない。だからアレコレ言えないケド、安井と松田はナイわぁ。






「南のは北に仕掛ければ死ぬ、化け物に殺される。そう思っているらしい。」


早稲わさ風見かぜみがアチコチで聞き、確かめた事。センも近海おうみ岸多きしたで耳にしている。


「南に潜んでいる者が戻れば、いろいろ知りたい事が分かるだろう。それまで待つしか無い。だよな、雲。」


「なぁ影、潜り影から聞いてナイか。」






心消には『潜り影』と呼ばれる忍びが幾人いくびとか居る。その一人が元、長であるリキ。


良村を利用しようと画策するも失敗。大蛇に縋り、良村と結ぶべく奮闘。長のあかしである針水晶の勾玉まがたまをシゲに預け、本気だと伝えた。


雲と共に良村と『忍びの結び付き』の不戦協定を結ぶ事に成功。イロイロあって長を退き、南の地に潜る事を選ぶ。



ちなみに勾玉は会談終了後、心消に返却済。






「安井の事は聞いてナイが、松田の事なら聞いた。松田の縄張りが明里あかりになって、悪いヤツを片付けている。王は人じゃ無い。加津と千砂ちさの国守は妖怪で、人と妖怪の合いの子を引き取って育てている。明里に潜ろうとしたら、見えない何かに弾き飛ばされた。こんなトコだ。」


「良村は、その。」


雲に話を振られ、シゲが微笑む。


「南にある里や村、国との付き合いが有る。今のトコロ、明里との付き合いは無い。」


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