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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1006/1586

11-57 その力、底ナシか


良村よいむらと結んだり、やしろを通して繋がっている忍びは多い。


上木社うえきのやしろの忍び、あか厳樫社いつかしのやしろの忍び、うた沢出社さわいでのやしろの忍び、影。矢弦社やつるのやしろの忍び、雲。糸游社いとゆふのやしろの忍び、月。嵓社いわおのやしろの忍び、毒嵓どくら水月社みつきのやしろの忍び、ひの見空社みそらのやしろの忍び、ふくろう



野比社のびのやしろ木菟ずく野呂社のろのやしろの鷲の目は社を通さず、忍びの一つとして良村と繋がりを持つ事にした。


どちらも山守と祝辺を見張る忍び。万が一にも良村や良山よいやまを巻き込んだり、わざわいもたらす事になってはイケナイ。


そう考えた忍び頭が社の司に頭を下げ、キッチリ根回し。


祝に知られる前に脅し、コホン。はっきりシッカリ考えを伝えて認めさせたので、祝から横槍が入る事は無い。






あまつ国から注がれる月読尊つくよみのみことの御力を含んだ、中つ国の粘土ねばつちで作られた壺。それも祝の力を込められ、焼かれた壺だ。閉じ込められれば、どんなに強い呪い祝でも身動き出来まい。」



良山にある麓の家で開かれる忍びの議りには、良山の国つ神の一柱として大蛇神おろちのかみも御出で遊ばす。


良村には忍びが居ないので、村長むらおさのシゲか支えのノリ、カズが出る事になっている。このたびはシゲが出た。



大蛇おろち様。タエを狙っている呪い祝、清める事は出来ないのでしょうか。」


「シゲ。山守のテイは化け物、人にドウコウできるモノでは無いのだ。人のときおにの世の神にも清められぬホド禍禍しい。」


もしかすると化け王になら・・・・・・。けれど化け王はアンリエヌの王、巻き込めぬ。


「そうですか。」


この山は大国おおくにに仕掛けられても、攻められても守りながら戦えるよう、忍びでも逃げ出す罠がアチコチに仕掛けられている。


ケド生き物に触れられる隠とか妖怪とか、祝の力を持たないオレたちに防げるのか?


「マルとマルコ、良村も良山も我が守る。だからシゲ、死に急ぐな。命は一つ、長生きせよ。良いな。」


「はい、大蛇様。よろしくお願いします。」






忍びたちは思った。山守の前に祝辺を弱らせ、黙られなければイケナイと。


祝社はふりのやしろの継ぐ子、その多くが親無しである。が、中には親から奪うように連れてこられた子も。


全てはおのの定めだと受け入れた者が人の守に選ばれる。


他の祝女はふりめ祝人はふりとも同じ。祝の力、その強さより重いのは時。どれだけ長い間、己と向き合い続けたか。どれだけ耐えられるか、耐えられたのか。



人の守が死んで隠の守になるのだから、闇堕ちしたり呪い祝になる者は少ない。そうなれば直ぐ、祝辺のひとやに放り込まれる。


とはいえ何時いつ、何が起きてもオカシクない。






「山裾の地は穏やかになりました。けれど南の地、白い森の北でいくさが始まりそうです。」


顔には出さないが、心の中で大騒ぎする忍びたち。


耶万やまに滅ぼされ人が減った悦、うね、大野、光江、安の生き残りが火種を撒き散らしています。」


その力、底ナシか。


早稲わさ風見かぜみが結んだ事、耶万の社の司が戻った事が広まったのに、オカシイと思いませんか。」


シゲ、いや良村は何を掴んだんだ?


浜木綿はまゆふの川は岸多きした、鳥の川は早稲。明里あかりと加津に挟まれた大磯川を抜けても、その先には風見。けど椎の川はアブナイ。実山みのやまは仕掛けられたり攻められなければ動かないし、谷西たにしは小さいから守りに入る。椎の川から暴れ川に入れば、ココまで。」


ゴクリ。


「きな臭いのは椎の川から近い、耶万に狙われなかった村や国。手を合わせようと蛇谷に寄った谷西の人が、つるぎや矢をドッサリ積んだ舟が細い川に入るのを見たそうです。」


「エッ!」


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