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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
山守編
1001/1586

11-52 いつものコトだけど


良村よいむらに預けられていたタエのうつわが安定した。良山よいやまから野呂、野呂から大泉に託す。


そのためにシッカリと話し合い、山守や祝辺はふりべから守らなければイケナイ。






「そうですか、早いモノですね。」


野呂神のろのかみがシンミリとおっしゃった。



社を通して二柱、大蛇神おろちのかみと野呂神がはかられる。良山と霧雲山を繋いだが、御呼ばれしないと加わる事は出来ない。


だって神議かむはかりだモン。



「このまま良村で、とは。」


溜息交じりに大蛇神。


マルが望むならそれも良い。けれどタエは見て、択びに選び抜いたのだ。霧雲山で生きる道を。


「人に扱えぬホド強い力は身を滅ぼし、力を受け継いだ者が苦しむ事になります。」


悪取神あとりのかみのように。


「野呂神。山守の呪い祝、テイを閉じ込めるのに良い粘土ねばつちに御心あたりは。」


「・・・・・・野呂と三日月湖みかづきのみずうみの間で、月の光を蓄えた良い粘土が取れます。」


「ホウ。」


「月の出ぬ夜、日が昇るまでに取らねばなりませんが。」






話し合いの末、野比の力を借りる事になった。


先見の力を持つ野比の祝に仕えるのは、昼は休み夜に動く忍び、木菟ずく。祝に見てもらい、木菟に粘土を取ってきてもらう。


心を読む事が出来る野呂の祝が、その土で壺を作る。祝の力を込めれば、テイの魂ダケを吸い込んで閉じ込める事が出来るハズ。



壺をグルグル巻きにするのは大貝神おおかいのかみの使わしめ、土の糸。


悪取神の糸では閉じ込めたテイをかし、壺にみ込ませてしまう。壺から出る事は無いだろうが、万が一というコトも。


だから神の御力でつむがれる糸より、使わしめにより紡がれる糸が良いと相成あいなった。






「壺が出来上がれば、直ぐに使いを出します。大蛇社おろちのやしろよろしいか?」


「はい。使い蛇かめぐし子の犬、マルコに御申し付けください。」






仔犬の時はボンヤリしていたが、ワンと吠えられるようになってから出来る事が増えた。


犬なので前足で物を掴んだり、後ろ足だけで歩く事は出来ない。人の言の葉も話せないが、心の声で伝える事は出来る。



大蛇社に嫌呂きろろ悪鬼おきを使わしめとして迎える事も考えたが、流山ながれやまで幸せに暮らすコンコンを呼ぶのは気が引ける。


だから今も大蛇には使わしめがイナイ。使い蛇やマルコ、たまにノリコが代わりを務めている。






「そういうコトですか。」


はじまりの隠神の愛し子が、早稲わさの生き残りが作った新しい村に引き取られた。そう聞いたのは、いつだったか。


覚えてイナイが『釜戸の祝も思い切った事をする』と思った事は、何となく覚えている。


「タマ。野呂と三日月湖の間にある、月の光を蓄えた粘土が要るのだ。」


ニッコリ為さる野比神のびのかみ


「その粘土を木菟が取りに行き、野呂社のろのやしろに届けると。」


大事おおごとですね、タタさま。私、わんなら作れそうです。壺を作るのは・・・・・・難しそう。



さて、見ますか。月の出ぬ夜、闇の夜。


月読尊つくよみのみことの御力が中つ国に届き、月の光を蓄える。パッと見たダケでは判らぬ、水を加えねば粘らぬ、そんな土なのでしょう。



「・・・・・・見えました。野呂山から見てかみ弓張ゆみはりはしを繋ぎ、その真中まなかと野呂社を繋いだ真中。野呂のふもとより離れた地に御座います。木菟、良いな。」


「はい、タマさま。」


忍び使い荒いよ! いつものコトだけど。


昨日きのうしもつ弓張だったから、もう少し先だな。ホッ。


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