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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
はじまり編
10/1567

1-10 二人の王

「エド、ジャド。ベン、ウィ。生きよ。」


支配の才を持つ父。大王に、覇気がない。やっと気づいた。何かが起こったと。


「急ぎ、人を集めよ。」


臣下に命じる。数年すれば、才を持つ子が生まれる。それまで、隠せば良い。化け王は言った。邪魔をしない限りと。エンのことは、諦める。



生まれなかった。才は、血縁へ受け継がれる。それなのに、まさか。


なぜ気づかなかった。治癒の才だけじゃない。氷の才も、水の才も。どこにもない。今ある才を保護しよう。化け王に奪われる前に。



数年後。すべての才が消えた。





才を、奪われた。命を吸わなければ生きられない。なのに吸えない。魂を。ならば命を絡めながら血を。やっと満たされた。そして気づく。日の光が浴びられないことに。


力はあった。鋭い嗅覚、高い身体能力。しかし、行動できるのは夜だけ。王城の地下へ。昼夜逆転の生活。絶望しかけた時、生まれた。才に似た力を持つ子が。


エドは決めた。次世代を守るために、化け王に屈すると。




「化け王。戻られました。」


はじまりの一族は、恭順の意を表する。忌み嫌っていた相手に。


「皆、行こう。化け王の城へ。」




「これは皆さん。ご機嫌いかが。」


エドは驚く。最後に会った時のままだ。


「化け王。はじまりの一族、ここに」


「フッ。いや、失礼。私も、はじまりの一族。皆さんの弟ですよ。」


歯を食いしばる。


「戻ってすぐ、使いを出したのですが。随分と。」


叫びそうになった。


「それに、皆さん。お顔の色が優れませんね。」


楽しんでやがる。


「おぉぉ怖い。睨まないで下さい、兄上。」


「化け王よ。王城の、地下で暮らす許可を。」


「こんな夜更けに。」


好き好んで、こうなったとでも?


「この城。良い思い出が詰まっていてね。時々、戻っていたんだ。ほら、風を入れないと。」


耐えろ、耐えろ。


「耐えろ、ですか。」


聞こえるのか、心の声が。


「聞こえますよ。」


バケモノめ。


「バケモノです。皆さんも、ね。」


「一緒にするな。」


ジャドとベンが飛び出す。氷像になった。一瞬で。



「この国には、二人の王がいる。そうですね、エド大王。」


「はい。」


支配の才が消えた今、エドが即位するしかない。


「そうそう、王城の地下。私の許しなど、必要ありません。王城は大王の城。お好きに。」


氷が一瞬で溶けた。


「次はありません。」


皆、誓った。化け王に逆らわない。邪魔しないと。次世代を残すため。力を持つ子を守るため。




「才ではない力。」


血を吸って生きる者。能力には、差があるな。引き継がれるものなのか。


「まぁ、良い。」


邪魔をしない限り。


はじまり編でした。


『祝』なのに、祝が! ご安心ください。


旅立ち編へ続きます。


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