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産廃水滸伝 ~産廃Gメン伝説~ 11 白いカラス  作者: 石渡正佳
ファイル11 白いカラス
20/28

模倣犯

 東洋エナジア元社長の水沢の秘書だった池沼麗子が伊刈に相談があると連絡してきた。水沢の傀儡に違いないと思った。何を企んでいるのか興味もあり会ってみることにした。池沼は一人で環境事務所に現れた。ショートパンツにタンクトップ、足許はビーチサンダルというこれ以上ない軽装だった。

 「ねえ自社処分場の承継をしたいんだけどできるかしら」面接テーブルに着くといくらか太股の贅肉が気になる脚を組み合わせて池沼は単刀直入に切り出した。タンクトップの胸元からはブラが覗き、目のやり場に困った。

 黒幕の水沢の企みは明らかだった。岩見が阿武隈運送の既設処分場偽装で産対課をまんまと出し抜いたのを見て手口を模倣しようと考えたのだ。だが不法投棄で逮捕され許可取消になった水沢は欠格条項で表には出られない。それで池沼を傀儡に使ったのだ。伊刈は女に弱いというのも見抜いていた。ヤクザになりそこなったチンピラとはいえ、そこは海千山千だった。

 「どこの処分場ですか」認めるつもりは毛頭なかったが場所だけでも確かめておこうと伊刈は問い質した。

 「白川建設が森井町に設置したまま休止してる処分場があるそうなのよ」

 「誰かに聞いた話ですか」

 「ええそう」

 「水沢さんに?」

 「同級生よ。市庁の建設課に勤めてるの」

 「市庁?」ちょっと意外な答えに伊刈が聞き返した。

 「五年くらい前かしらね。白川建設は倒産したんだけど森井町の資材置き場の奥に大きな穴があるのよ。それでね、その穴って処分場なんじゃないかと思ってさ」

 「あなたが考えたんですか」

 「そうよ」

 「水沢さんはどうされてますか」

 「社長を疑ってるのね。残念ながら関係ないわ。私だって産廃業者の社長秘書をずっとやってたんだから知識はあるわ。社長が捕まった柴咲町で岩見さんが処分場の届出を出したって話は市内では有名なのよ。それで私もやってみようかなって思ったのよ」

 「水沢さんには相談してないんですね」

 「相談くらいはしたかもね」

 「なんて言ってましたか」

 「麗子がやるなら金を出すやつを紹介してやるって」

 「なるほど」

 「岩見さんが出した届出書っていうの参考に見せてもらうことはできないかしらね」

 「公文書公開請求すれば見られますよ。様式だけならここにもありますけど」

 「そうなんだ、ふうんなるほどね」池沼はちょっと思案げに唇をなめた。「それじゃ様式をいただいていくわ」伊刈は喜多に様式を持ってこさせた。

 「承継者と被承継者の印鑑が必要なのね。実印じゃないとダメなのかしら」池沼が書類を見ながら言った。

 「会社なら代表社員印が必要ですが、個人なら印鑑はなんでもいいです」

 「住民票とか印鑑証明とかは」

 「要らないです。処分場の図面が添付書類として必要です」

 「市庁に持っていけばいいのね」

 「審査は産対課でやりますけど届出先は環境事務所でもいいですよ」

 「じゃあここに持ってくるわ」池沼は様式のコピーを持って立ち上がった。

 「あ、ちょっと」

 「何かしら」池沼が振り返った。

 「水沢さんは今どこにいらっしゃいますか」

 「そうねえ八月いっぱいは海の家にいると思うわ」

 「どこの海岸ですか」

 「君浦じゃないかな。屋号はビーチサロン浜中だったかな」

 「水沢さんの海の家なんですか」

 「まさかね。雇われマスターってとこじゃないの」

 「わかりました」

 伊刈は池沼の日焼けした背中を見送った。

 「あの女、怪しいっすねえ」池沼の車が駐車場を出て行くのを見ながら長嶋が言った。

 「なんとも言えないけど水沢とはまだ切れてないみたいだね」

 「らしいっすねえ」

 「水沢に会いに行ってみるか」

 「いいっすよ。ビーチサロン浜中って海の家も調べておきます」

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