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繋り
いつでも誰かと繋がってる
気付けば便利な時代になった。
ボタン一つで、暖かくなる。
ボタン一つで、ご飯が炊ける。
ボタン一つで、君と話せる。
ボタン一つで、人を殺せる。
便利が当たり前になりすぎて、仕組みも中身も分からないまま使ってる。
壊れたら誰かがきっと直してくれる。失くしたら、また同じものを買えばいい。
壊れた関係は戻らないし、失くした信頼は買えやしないのに。
いつでも繋がれるようになった代わりに、いつでも僕らは周りに急かされてる。
感情は効率化と引き換えに。使えないなら切り捨てることも簡単に。
楽して生きたかった筈なのに、苛立ちと無感動ばかりが募っていく。
何事もワンクリックで、笑顔も涙も驚きも、全て予測変換に並んでる。
あ→ありがとう。あ→愛してる。
って、薄っぺらい言葉が目の前を流れてる今。
機械に頼らないなんて、どうしたって無理だけど。
親指で伝えられる言葉ぐらいは、君に直接言えたらいいな。
そんなことばかり考えてる。
これもきっと、ありふれた言葉。




