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行方不明

 意味不明な街の中。

 ――目が、覚める。


 闇の中にあなたを探す。夜を彷徨う。

 嘘をついた。あなたじゃなくてもよかった。誰でもよかった。誰かを探す。


 寂れた街に、壊れたラジオ。ノイズが響く。

 鏡に映るあなたの姿。溶けてしまった。もう見えないや。


 交差点の鉄の群れが、泳いで跳ねた。

 返り血は気にしないが、口を開けてる僕はどこか無様だ。魚のように空気を求めて抗う今だ。


 路地裏の中で足を引きずって彷徨っている。

 ドロドロになって、混じり合って楽になった。それでも頭痛は消えないままだ。二日酔いか。

 吐き出す言葉。誰の言葉だ。自分は何だ。追い求めたら眠たくなった。溺れそうな日々だ。


 電灯の下、映る君の影。幻覚の果て。焼き尽く記憶にうなされている。

 言い訳しなきゃ会えない僕は、偽物なのか。化物なのか。どうでもいいか。どうにでもなるか。

 一瞬直ったラジオ。聞こえてくるあなたの声。僕は――


 探し回って、回って、眠れないままだ。とうのない日常の中で。走っても叫んでも追い付けない夜に、あなたは笑って手を振っていたんだ。

 「君だけを愛してる。愛してるんだ」。聞き飽きた誰かの言葉。薄っぺらいモノで溢れるこの街を。

 今日も僕ら、漂っている。虚像に呑まれ、失くした頭を探している。

 窮屈な今を彷徨っている。

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