深夜3時
僕らの時間。
「何もしたくない日ってたまにあるよね」
〈わかる〉
「そんな時、君なら何する?」
〈何もしたくない日なのに何かするの?〉
「人って何かしていないと生きていけないからさ」
〈じゃあ、息するよ〉
「私もしてるよ」
「もっと面白いことしようよ」
〈面白いことなんてないよ」
〈何も〉
「せっかく生きてるんだからさ」
〈全部他人事みたいなんだ〉
〈皆が人を好きなのも〉
〈皆が笑ってるのも〉
〈遠いんだよ〉
「何もしたくないね」
〈したくないよ〉
〈何もしなくていい場所ってあるのかな〉
「死後の世界とか?」
〈死んだらどうにもならないよ〉
〈無でしかないんだ〉
「ならどこにもないね」
「私たちが何もしなくていい場所なんて」
〈どうして何かしないといけないんだろう〉
〈生きるのが面倒だって〉
〈最近よく思う〉
〈退屈なんだ〉
〈毎日ダルいよ〉
「私も」
「息苦しいよ」
「何で皆が笑っんのか分からない」
「他人なんてどうでもいいって思ってるんだ」
「ちょっとおかしいのかな、私」
〈…………〉
〈おかしくないよ〉
〈普通なんて分からないけど〉
〈僕も、同じだから〉
「笑っちゃうよね」
「ちっとも面白くないのに」
〈僕なんていつも笑ってるよ〉
〈自分の無個性さに笑わずにはいられなくてさ〉
「個性って何だろうね」
「ないといけないものなのかな」
〈少なくとも僕は生きてるよ〉
「それもそうだね」
〈どうせ人混みに消えるようなものだよ〉
〈そんなもの〉
「イラついてる?」
〈別に〉
「あー、何もしたくない」
〈寝たいよ〉
〈今寝たらもう起きなくて済みそう〉
「君がいなくなったらもっと暇になるね」
〈少しぐらい僕から離れたほうがいいよ〉
〈友達いないの?〉
「分かりきっていること聞かないでよ」
「笑っている人を見るのが辛いから」
〈そうだね〉
「なんかボッチの会合みたいだね、これ」
「捻くれてるって言われそう」
〈いいんじゃない、青くさくても〉
〈その方が僕たちらしいよ〉
「私、依存してる?」
〈さぁね。どっちでもいいよ、そんなの〉
「君とこうしてる時だけ、生きてる気がする」
〈僕もだよ〉
「生きづらいね」
〈仕方ないよ〉
「笑いたいよ」
「もっと普通になりたい」
〈ならなくていいよ〉
〈普通なんてたいして面白くないよ〉
「これからどうやって生きていけばいいんだろうね?」
〈なるようになるよ〉
〈どうせいつか大人になるから〉
「希望しかないね」
〈笑えない〉
「冗談だよ」
〈…………〉
〈もう寝るよ〉
〈おやすみ〉
〈また明日〉
「おやすみ」
〈…………〉
〈…………〉
〈…………〉
「明日が来るってちょっと怖い」
「起きたくないよね」
〈……寝なよ〉
少しだけ、笑えてる。




