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足音
何かに追われて生きてる。
かつんこつん、かつんこつん。
静かに後ろで足音がする。
ずっと追われているような気がする。
振り向けどそこには何もない。
ただ深い闇が広がっているだけ。
それでも足音は迫ってくる。
絶えず私に向かってくる。
かつんこつん、かつんこつん。
走れど音は遠ざからない。
耳を塞げど音は消えてくれない。
追い付かれたとき私はどうなるのだろう。
もしかしたら何も起こらないかもしれない。
それでも私は歩を進める。
休む暇もなく歩き続ける。
前へ、前へ。
出口を求めて。
闇を抜け出るのが先か。
音に呑まれるのが先か。
音は絶え間なく響いていく。
足音が私を急かしていく。
かつんこつん、かつんこつん……
かつんこつん、かつんこつん……
かつんこつん、かつんこつん……
音は、いつまでも鳴り止まない。




