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夜明け

 巡る夜と僕らの朝。

 映画みたいな夜の街。

 闇が僕らを隠している。

 人が寝静まるその時に、僕らは『色』を見いだしていく。


 僕らはいつだって背景だった。

 人混みの中。影の一部。

 言葉は無色。顔にモザイク。

 エンドロールに名前は見つからない。


 日が落ちて、夜がまた始まっていく。

 月の見えない闇色の空。


 街灯に照らされ街を歩く。

 いびつな影が、闇に伸びていく。


 モノクロみたいな夜の中。

 ビルのガラス。立ち尽くす影。

 判別のつかない黒い服を、押し付けられた僕の姿が、


 映る。


 夜。


 夜明けが少しずつ近づいていく。

 喧騒と日常に色づき始める。


 朝。


 太陽が僕らを照らす。

 新しい朝が始まっていく。

 

 そこに僕の居場所はないから。

 そこに僕の色は見当たらないから。


 今日も、人混みの交差点の上で、

 振り返る。

 淡い空を見ていた。


 朝焼けに消える白い月と、

 僕らの日常は進んでいく。


 足元の見えない夜の闇を、

 今日も、

 僕らは、



 歩いている。

 朝が僕の居場所を奪っていく。

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