夢の中で/記憶
愛し、愛され、夢の中。
壊れた記憶と彼女の夢。
君と二人、夕暮れの教室。
触れる、その手。
揺れる、果実。
求め、愛し、慰め合う。
絡み合って堕ちていく。
深く。
深く。
どこまでも。
その快楽に溺れてく。
滴る水滴、混ざっていく二人の色。
夕暮れが淫らに染めていく。
赤く、白く。
狂い、狂う。
狂って、壊れて、溶けていく。
深みに嵌まって、抜け出せなくなっている。
恋しい。
愛おしい。
狂おしい。
思考は次第に麻痺していく。
何も考えられなくなっている。
呑まれて、飲まれて、捕食まれていく。
愛するたびに自分が壊れていく。
――あぁ、これは夢。
愛しく狂った僕の夢。
愛して、愛して、愛してる。
――ずっと、ずっと、夢の中。
二人、きっと微睡み続ける。
愛が終わる、その時まで。
命が尽きる、最後の夢で。
「愛し尽くしてあげる」
地獄はこんなにも愛おしい。
――――――
私は見ていた。
あの日の二人を。
貪りあって、愛し合って。
互いに互いを壊し続ける。
夢のようで地獄のようだ。
美しいのにどこか狂ったその情景。
言葉は出ない。
私は他人だ。
その絵画には指一本触れられない。
額縁、外様、負け犬、敗者。
きっと私はそこで死んだ。
私の愛はそこで壊れた。
私はただ見つめ続ける。
あの人の顔を。
恍惚に染まるその表情を。
ひび割れ、壊れたあの日の記憶。
私はずっと繰り返してる。
ずっと、ずっと、見つめてる。
永遠にあの日は終わらない。
私が狂う、その日まで。
彼らが尽きる、その瞬間まで。
――私は見ていた。
――あの日の二人を。
どうせなら、燃え尽きるまで夢を見よう。
見ていることしか出来なかった。その記憶はずっとある。いつまでも。




