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流れ
早送りし続ける世界の中で。
季節は変わる。僕らを残して。
春夏秋冬。色を変えていく。
時間は流れ、時代も変わる。
誰かを残して、先へと進む。
加速と流行が巡りめくって、
転んだ人は、はいサヨナラ。
四季色とりどりの景色の裏で、今日も誰かが虐げられる。
ズレて、間違って、空気になる。
春の桜の下で彼女が泣いて、
夏の海で僕らは波に揺られて流れてく。
秋の祭りが悲劇を生んで、
冬の聖夜に二人の心は遠ざかってく。
巡って、変わって、回ってく。
三倍に、四倍に、早送りしていく。
適応できなきゃ生きていけない。
環境に合わせて、自分の色も変えなくちゃ。
そんな風に『自分』が分からなくなっていく。
今の『流れ』も押し潰されて、消えていく。
暑くて、寒くて、白くて、青い。
全部混ざって溶けていく。
きっと、早送りは止まらない。
いつか、誰も追い付けなくなっていく。……それでも、
春夏秋冬、巡ってく。
傷つく世界も回ってる。
――僕らの明日に休息はない。
自分の『平常』は皆の『異常』。




