廃退の鐘
僕は世界を俯瞰していた。そこは一つの町。500人程度の人が集まる小さな町だ。住宅街、市場、港から成る沿岸の町。そこは活気に満ち溢れていた。晴れた明るい町。
住宅街では、外を多くの人々が行き交っていた。ところどころ談笑したりしている人たちがいる。
市場では、その日の食料を買い集める主婦。それに対応する店子たち。最も町の中で活気づいている。
港では、大量の魚を運び入れる漁師と、取引する商売人たち。生の躍動感がそこにはあった。
鐘の音が鳴り響く。
フォン、フォン、フォン、フォン、――
ただひたすら続く鐘の音。すると、世界が崩れ出した。
ガシャガシャガシャガシャア――
町のより外側にある、円形の層状になっている住宅街が外から崩れていく。そこにいる人々を巻き込みながら。突然の出来事に人々は為すことなく倒壊に巻き込まれ、埋もれていく。その速度は速かった。あっという間に、中心街から離れた住宅群は崩れ去った。
ガシャガシャガシャアアア――
続いて港が崩れ去っていく。静かで綺麗な青い海もろとも消え去り、そこには瓦礫だけが残った。
ガッシャアアアアアー、――
最後に町の中央付近にあった市場が消滅していく。怒号を立てながら、それはただの四角い塊へと成り果てた。
そうして、僕が見ていた世界は崩壊したのだ。
すると、声が聞こえる。
プーっ、プーっ、
コラアアアア! ○○っ、夜ご飯だからたったと降りてきなさい!
僕は電話に出て返事をする。すぐに降りる、と。そして、崩壊した眼前の世界に再び目を向けた。そこにあったのは、ブロックの山。幼い頃僕がよく使っていたものだ。
部屋の整理の際、押し入れの奥から出てきた、ブロックの入った箱を見て、懐かしくなったのだ。そして、僕は子供のときに遊んだブロックで遊びたくなったのだ。部屋の整理なんてどうでもよくなって。
神様ごっこ。それを子供の頃のようにしたくなったから。これがなかなか、久々にやってみるとなかなか楽しかったのだ。
僕は立ち上がり、崩れて散らばったブロックの塊を片付けた。そして、2階に位置する自分の部屋から出て階段を駆け降り、1階に位置するリビングへ。すっかり現実へ戻り夜ご飯へと向かうのだった。




