疫病神ノ話 其ノ貳
家族には いつかはばれる 隠し事
4月8日火曜日
それでは今日、4月8日の話
腕を切られた後は気を失っていた
そして目を覚ますと一日過ぎた4月の8日だった。
「.........僕の部屋か...」
誰が見つけて誰がここまで運んできたんだろう...
つか何だったんだよ......
するとガチャリと僕の部屋のドアが開いた。
「お兄ちゃん!起きたの!?熱は大丈夫!?」
「え?熱?僕、熱出てたのか?それより腕がない事に驚けよ」
「え?腕がない?何を言っているのお兄ちゃん」
「?えっ いや、だから僕の右腕が............ある...」
「当たり前でしょ 腕がないならこの部屋じゃなくて病院に居る筈なんだから お兄ちゃんとうとう熱で頭が馬鹿になったの?元々馬鹿だけれど馬鹿な野郎になったの? 馬鹿野郎なの?」
散々な言われようだな兄よ
というかなんであるんだ...
おかしい
僕はあの時あの瞬間
完全に腕を切られた
痛みも覚えている
なのに腕がある
切られた腕がある
切られた筈の腕がある
感覚もある
何処からが現実で何処までが夢なんだ
何処からが夢で何処からが現実なんだ
僕の腕が切られている筈なのに戻っている...
あの角で...
彼女...
いや、彼女が犯人ではない
僕の腕が切られた時にまず間違いなく彼女は眼前で度胆を抜かしていた
なら、一体...
恨みも買われた覚えもない...多分...。
それじゃぁ通り魔か...。
とりあえず通り魔なら近隣でニュースになっている筈だよな
「なぁ、真実ちゃん 最近何か物騒なニュースはなかったか?」
「え?物騒な事?
う〜ん......
あ、昨日うちの中学校で同級生の古舘くんがイジメられていたよ!!」
「それは...物騒だな....」
「でしょ!だから私がそのイジメから古舘くんを助けてあげたの!!
"こら!これ以上古舘くんをいじめると真実ちゃんが削いじゃうよ?"
って!!」
「何を削ぐんだよ!?お前が物騒にさせてんじゃねぇか!!
てかそう言う事じゃなくてこの付近での事件とかさぁ!!」
「う〜ん特段問題ないね〜」
「そうか...」
とりあえずあの角に向かってみるか
「あっお兄ちゃんどこ行くの!?」
「エロ本を買いに行くに決まってんだろ。お兄ちゃんは欲求不満なんだ!!」
「もう夜の10時だよ!?
本屋さんも閉まっているんじゃない!?」
「知るか!!」
「なんで!?!?知らない筈がないでしょ!?ねぇ!
お兄ちゃん、何をそんなに急いでるの!?」
「お前には関係ねぇ!」
「うわぁ...お兄ちゃんもしかして反抗期?」
「うるせぇ!とにかく部屋に戻ってろ!」
「ちぇ〜......ていうかお兄ちゃん靴履くのに時間掛けすぎじゃない?」
「いや、なんかこれ、履きにくい、!」
中に何か入ってんじゃねぇか?
すると中から丸められた紙が出てきた。
「それじゃ私は部屋に戻ってるね〜」
「あ、ああ」
丸められた紙の間から何か黒い文字が少し見えた。
紙を開け何が書いてあるか見てみると
"お兄ちゃんへ 棚の裏に仕舞ってあった薄い本達だけれどあれお母さんの机の上に置いておいたから(^ω^)"
.....................あ。