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第8話 少将閣下セリア・ファーム

 ゆっくり話がしたいと言われヴァッキンガム宮殿内にあるセリアの部屋に案内された。

 かなり広い部屋で内装もなかなか豪華だ。

 部屋の中にあるソファーに座る両脇には人型に変わったイフリートとシヴァも座る。

 今、部屋にいるのはセリア、セシリアさん、俺と魔人2人だけだった。

 セリアは俺の対面に座り、セシリアさんは横で背筋を伸ばしに立っている。

 

 「改めて、お久しぶりですお兄ちゃん」

 

 「……」

 

 「どうかしましたかお兄ちゃん」

 

 「あの~申し訳ないんですが、お兄ちゃんはやめていただけないでしょうか」

 あれ、なぜか敬語になってる俺。

 

 「ふふ、いいじゃないですか。私にとっては何年たってもあなたは私にとってお兄ちゃんなのですから」

 

 「セリアさん、あのですね」

 

  むむむ……年上の人からお兄ちゃんて呼ばれるのわちょっと無理があるな。

 横にいる2人の魔人はニャニャしながら俺とセリアを見ている。

 

 「ふふふ、申し訳ございません。悪ふざけがすぎましたわね。さすがにお兄ちゃんはあれなんで、キラ様とお呼びしますね、でも私のことは昔のようにセリアと呼び捨てで、あと敬語も必要ありませんので」

 

 「ん……わかったよセリア」

 

 俺の言葉にセリアは喜んでいる。

 キラ様もまだ抵抗あるが、お兄ちゃんよりはかなりましなので妥協した。


 「もうお分かりだと思いますが娘のセシリアです」


  「先程は失礼をいたしました」

 

 セシリアさんはこれでもかと言わんばりで頭を下げた。

 

 「いえいえ気にしないでください」

 

 「アリス姫を助けていただいて、英雄であるキラ様を不信人物扱いをしてしまい本当に申し訳ございません」

 

 「もう済んだことだし、それにこうやってセリアとも会えたし。だからもういいですよ」

 

 「ありがとうございます」

 

 セシリアさんは俺の言葉に安堵したようだ。


 「でも、本当によく戻ってきてくださいました。この世界が今平和なのはキラ様のおかげですもの」


 「いやいや、俺は最後に止めをさしただけだし、他のメンバーがいたからヒミコと戦えたしそれに……」

 

 左右に座るイフリートとシヴァを見て

 

 「この2人がいなかったらあの戦いには勝てなかったしな」

 

 俺の言葉に2人は嬉しそうに微笑んでいる。

 俺は言った言葉に照れてしまいごまかすように出されていた紅茶を飲んだ。


 「話は変わるが現在のイングランド王はアルトなのか」


 「はい。第1王子のイグナイテッド様は30年前の戦いで戦死され、第2アトラス王子は自分には王の器がないと言われアルト様を推し、アルト様も最初は嫌がっていたんですが周囲の意見に説得され王位を継がれました」

 

 たしかに一緒に旅していたころ自分は王になりたくないと言っていたな。 なんでも上の2人の兄が優秀で自分は落ちこぼれと言っていたな。


 「アルト陛下にお会いしていただきたいのですが、現在会議中で明日のお昼頃に私との謁見が予定されていますのでその時に一緒にお会いしましょう」

 

 「わかった」

 

 コンコン

 ドアがノックされドアの向こうから


 「失礼いたします。ファーム少将閣下、外務大臣ニルバーシュ様がお呼びです。至急執務室に来て欲しいとのことです」

 

 「わかった。大臣にはすぐ行くと伝えて。 キラ様今夜は我が家に泊まってください。話の続きは食事でもしながらいたしましょう」

 

 「いいのか」

 

 「はい、使っていない部屋がいくつもありますので」

 

 「じゃあ、お言葉に甘えよう」

 

 なにせ考えてみたら俺の全財産は銅貨5枚しか持っていない。

 王都ロンドンだと一番安い宿でも銅貨3枚はいるはずだ。

 と言っても30年前の相場だが。

 最終決戦前に持っているお金をほとんど使いきっちまったからな俺。

 だって最後の戦いが終わったら元の世界に帰れると思っていたもんだからつい豪遊しちゃいました。


 「セシリア・ファーム少尉」


 「ハッ!」


 先程までの優しい顔から厳しい表情でセシリアを呼ぶセリアはかっこよかった。


 「少尉には今からキラ様に街の案内と自宅までの案内をおねがい。いいわね」

 

 「ハッ」

 

 「ではキラ様、夜にまたお会いしましょう」

 

 「わかった、セリアも仕事頑張ってな」

 

 「……はいがんばります」 

 

 後ろ姿のセリアの表情はわからなかったが、スキップでもしそうな感じで部屋を出て行った。

 横でじーっと俺を見つめるセシリアさん

 

 「あの~なにか?」

 

 「キラ様、母とはなにもなかったんですよね?」

 

 「妹のように可愛がっていただけだが」

 

 セリアを異性として見ることはなかった。

 

 「「ふふふふふ」」

 

 2人の魔人が笑っている。

 

 「なんだよ」

 

 「それだからあんたはDTなのよ」

 

 「キラ様は鈍感ですから」


 「だからなんだよ~」


 まったくわからん。

 2人は何が言いたいんだ。


 「とにかくセシリア、私たちのご主人様はこのとおり鈍い男だから気にしなくていいわよ」


 セシリアさんの背中をバンバンと叩いくイフリート。

 イフリートはたまにおばちゃんみたいな行動をする。

 だがそのことを指摘するとマジで怒るのであえて言わない。


 「いたたた、そうですか」


 背中をさすりながら俺を見るセシリアさん。

 「とりあえず街をご案内しますので行きましょう」

 納得していない表情のセシリアさんの後に続いて俺たちも部屋をでた。

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