59話 馬車の中で
集合場所が現地のため乗り合い馬車で行くことにした。
転移魔術で行けなくはないがせっかくの遠足なのでやめておいた。
馬車乗り場に着くとちょうど1台の乗合馬車が止まっていた。
馬車に乗ると一番後ろの席に女の子1人が座っていた。
小等部の制服を着ている女の子だ。
女の子は乗車してきた俺たちに気づき立ち上がり、
「おはようございます、アリス様」
リリーナと呼ばれた女の子は俺たちを見て深々と一礼する。
「おはようございますリリーナさん」
アリスは軽く会釈をする。
「おはよう」
「はよ~」
俺とイフリートも一応挨拶するが……誰?
ダークブラウンの髪が肩ぐらいまで伸びておりメガネをかけて大人しそうな感じの女の子だ。
挨拶と済ませ俺たちも座席に座ることにした。
乗り合い馬車は対面で横に5、6人が座れるようになっているので合計10人ほど座れるようになっている。
彼女の前の席に俺を挟んで右にイフリート、左にアリスが座る。
(イフリートこの子知ってる?)
(ん、知らないわ)
どうやらイフリートも知らないみたいだ。
俺が考えていると
「同じクラスでメイド科のリリーナ・バートンさんだよ」
小さな声で俺たちに教えてくれた。
そうか同じクラスの女の子か。
「リリーナさん今日アルベルト様はいらっしゃらないの?」
「はい、そのような行事に興味ない言われまして」
(アルベルトて誰だ?)
(ん、知らないわ)
「フランスの第6王子でリリーナさんの主だよ」
アリスが再度俺たちにしか聞こえない音量で教えてくれた。
フランスの第6王子だと……
先日の金髪縦ロールの弟か。
あまり関わらわない方がいいな。
いちゃもんでもつけられたら大変だ。
しかし主が休んでいるのにこの子は何故1人で登校しているんだ?
疑問に思った俺だがアリスが代わりに聞いてくれた。
「アルベルト様が屋敷にいると邪魔だから学校に行けと言われまして……」
リリーナはさみしそうに答える。
仮にも自分のメイドに対して邪魔だからと言って追い出すなんて。
かわいそうに。
あの国の兄妹は全員ちょっとおかしいのか?
関わり合いたくないと思ったのだが……
せっかくの遠足なのにそんなさみしそうな表情されるとなんとかしてあげたいな。
……ん、そうだ
「……え~とリリーナだったかな?」
「……え、はい」
「今日よかったら俺たちと一緒に行動しないか?」
「え!キラ?」
「一応メイドを連れてきているんだが、メイドとしてはあまり役に立たない奴だからアリスのそばにいてもらえないだろうか。もちろんその手当は払う」
俺の言葉にアリスとリリ-ナはビックリしイフリートはニヤニヤしている。
俺はイフリートを見る。
(ふふふ、この機会を利用してアリスの友達作ろう作戦ね)
(ああ、だから話を合わしてくれ)
(あいよ)
そうアリスにはまだ友達と呼べる子がいない。
俺たちはアリスが頑張って友達を作ってくれることを期待していたのだが、
学園都市に入学して早2週間経つが唯一挨拶以外で会話するのが委員長だけだからだ。
「え、でも……」
リリーナは困惑している。
そりゃそうだこんなこと普通はありえないからな。
仮にも1国の王女のメイドが役に立たないから手伝って欲しいなんて言うわけない。
国の威信にも関わることだ。
だがここはアリスのためだイングランド王国には泥をかぶってもらおう。
「リリーナさん……」
アリスが少し暗い表情になる。
たぶんネガティブなことを考えているにちがいない。
俺はリリーナに近づき彼女しかしか聞こえない音量で
「頼む、俺を助けると思って引き受けてくれないだろうか」
「はぁい、わきゃりました」
……かんだ。
あたふたするリリーナ。
なんだこの可愛い小動物は!
この子ならきっとアリスのいい友達になれる!
(イフリート!彼女を絶対にアリスの友達にするぞ!)
(あたいもがんばるわ)
(いや、イフリートはややこしくなるからおとなしくしてろ)
(いや)
……イフリートが変なことをしないようにも見張っていないと
こうして俺とイフリートの『アリス友達作戦』が開始された。




