間話2 ジェフ・エルリック2
バリバット山についた私は中層付近にあるエリクサーの原料であるエーデルワイスを探した。
だが探すのにかなり手間がかかった。
バリバット山は難易度Cクラス、魔物もCクラスレベルがほとんどだ。
だが冒険者ランクFのワタシ1人ではかなり厳しいが、
警戒魔術唱え魔物と遭遇しないようにし、運悪く遭遇してもワタシの魔道具〈残像具〉で姿を隠し魔物から逃げ切った。
バリバット山に入り2日ほどたった。
なんとかエーデルワイス12束を採取でき山を降りるとき5人の人間に襲われた。
「おい、エルフの小僧持っているその花と貴様の髪の毛を差し出せば命だけは助けてやる」
人間たちはワタシをニヤニヤしながら笑っている。
ゲスどもが。
だがワタシではこの人間たちに勝てない。
私は魔道具で姿を消し逃げようとしたが魔道具が作動しない。
魔道具は魔術によって作動しなくなっているようだ。
人間たちの中にどうやら魔術師がいるようだ。
ワタシは魔道具を袋にしまいスキを伺った。
「早くしろ、死にてえのか?」
「おい、もう殺そうぜ、そのほうが楽だし」
「ちっ、まあいいか、花束とエルフの髪があれば1月は遊んで暮らせるだろう」
ワタシもただ黙ってやられるわけにわいかない。
まして下等な人間にやられるなど屈辱だ。
ワタシは剣を構え人間どもに斬りかかった。
「〈電の矢〉」
奥にいた人間が雷魔術を唱えワタシに雷の矢が3本襲いかかってきた。
ワタシは2本は避けたが残りの1本が剣を持っている右手に刺さりワタシは剣を落としてしまった。
すぐ剣を拾おうとしたが鎧いを着た人間に剣は蹴り飛ばされ人間の顔を見た瞬間ワタシの腹に鎧の人間の剣が刺さっていた。
「ぐはっ」
痛みでワタシは気が狂いそうだった。
だがワタシはワタシを刺した人間を睨み返した。
「……今楽にしてやる」
人間はワタシの髪をつかみ胸に剣をあてた。
ワタシはここで死ぬのか。
ワタシが死ねばサラはどうなる。
死ねない!
ワタシは素手で人間の剣をつかみ奪おうとした。
「このガキ、無駄な抵抗をし・・・・・・」
鎧を着た人間は言葉を言い終わらないうちに目が白目になり私の方にもたれかかってきた。
鎧を着た人間の後ろにワタシの同族が立っていた。
いや同族ではない。
なぜなら我らエルフと違い褐色の肌に黒い髪。
ダークエルフ族だ。
目の前にいるダークエルフがどうやらワタシを助けてくれたようだ。
「貴様いつの間に」
人間たちは驚いているようだ。
いきなり現れ天敵であるエルフのワタシを助けたのだから。
「シェリル、この子の治療を」
「はい」
ワタシの背後に私と同族のエルフが治癒魔術で怪我を直してくれる。
ワタシを治療してくれるエルフの顔見覚えがあった。
「シェリル姫、生きていたのですか」
「私を知っているのですか?」
「ワタシの父と母はアイルランド王宮で働いていました。ワタシも何度か姫を見かけたことがあります」
「そうですか。……とにかく今は安静に私の治癒魔術をうけていてください。」
「ですが相手はあと4人もいます。魔術師もいるのです。ワタシたちも加勢したほうが」
「私たちが行けばかえって邪魔になるのでここでおとなしくしていましょう」
シェリル姫はそう言ったがあのダークエルフ1人で大丈夫なのか?
鎧の人間は卑怯にも後ろから不意打ちで倒した。
助けてもらってなんだがダークエルフらしい戦い方だ。
人間側には初級魔術師がいる。戦士が2名と盗賊1名だ。
魔術を使う人間は初級魔術を極めたものでも10人の戦力になると言われている。
勝てるのかあのダークエルフ1人で。
勝負はあっさりついた。
魔術師はダークエルフに雷魔術を詠唱し〈雷の矢〉を3本放ちしたがダークエルフは炎魔術〈炎の矢〉を無詠唱で20本放った。
3本の〈雷の矢は〉はあっさり粉砕され、残りの矢は魔術師と盗賊にあたり戦闘不能になった。
残りの戦士2人はダークエルフが〈炎の矢〉を放った瞬間に斬りかかったが1人は刀を抜いたダークエルフの剣で受け止められもう1人は炎魔術〈爆炎〉で炎に包まれ苦しんでいる。
その光景を見た戦士は逃げようとしたが、ダークエルフに刀で首元を切られた。
いや切っていない。ダークエルフは峰打ちで首元に打撃を与え気絶させたようだ。
炎で苦しんでいる人間に水魔術で頭の上から水をかぶせ炎を消し先ほどの戦士と同じように峰打ちで気絶させた。
「シェリル、この人間のやけどを歩けるぐらいまで回復させて」
「わかりました」
ワタシの治療がおわり火傷している人間に治癒魔術をかけるシェリル姫 。
なんて強さだこのダークエルフは。
見ていればわかった。このダークエルフは全く本気を出していない。
ダークエルフは治療が終わり座り込んでいるワタシの前に仁王立ちで立っている。
「大丈夫か少年。私たちが助けなければ少年は今頃あの世に行っていたぞ」
「ふん、あの程度ワタシ1人で倒せたわ!」
「そうかそうか、それはすまんことをしたな」
「……フン」
「だがな……」
ゴチン!
ワタシの頭に衝撃が走った。
「痛っ、貴様何を……」
「確かに余計なことをしたかもしれんが、少年は私に助けられたのだぞ、言う言葉があると思うが?」
「……」
ワタシは頭の痛みをこらえダークエルフを無視する。
「うむ、ならば」
ダークエルフはワタシの前にかがみ同じ目線になった。
ワタシは不覚にも天敵であるダークエルフの美しい顔に見とれてしまった。
だがワタシはすぐに正気に戻り顔を背けたが
ムニュー
ダークエルフはワタシの両ほっぺをつねった。
「いわいいわい(痛い痛い)」
「私に言う言葉があるだろう。言わなければずーっとつねるぞ」
「いわん」
「強情ね、ならば倍率ドンね」
ワタシの頬を引っ張る強さがさらに強なった。
だが、ワタシは言わない絶対に言わない。
「うむ、強情な少年だな。その強情さに免じて許してやろう」
ダークエルフは最後にもう一度ワタシの頬を強く引っ張りそして離した。
「ネイ様……」
ワタシたちのやりとりを見ていたシェリル様はため息をついている。
「さて、とりあえず街に戻るわよ」
「そうですね。この子の妹さんも心配ですし」
「……なぜ妹のことを知っているんです」
「あなたが2日前冒険者ギルドから出るときに入れ替わりで私たちが入ったの。その時にギルド長と数人の人間があなたのことを話していてね。2日経っても帰ってこないあなたが気になってあなたと同じクエストを受けてこの山に来たら、ちょうどあなたが襲われていたところを見つけたの、無事で良かったわ」
「そうですか、気を使っていただきありがとうございます」
ワタシはシェリル姫に感謝した。
「こいつらはどうするんです」
戦意喪失になった人間たちを見る。
「もちろん警備隊に引き渡たします。ついでにギルド長の悪事も話してもらわないといけませんから」
「そうですか……」
ワタシとシェリル姫の会話を聞いていたダークエルフは不機嫌な表情をしている。
「どうしたのですかネイ様?」
「……別に」
ダークエルフはワタシとシェリル姫を交互に見てさらに不機嫌になった。
「もういいわ、早く街に戻りましょう。ほら人間どもさっさと立って歩きなさい。逃げてもいいけど逃げきれなかったら今度は手加減なしで殺るから」
人間たちはダークエルフとの実力の違いがわかったのだろう。
怯えて頷いた。
「行くわよ……ところで少年の名前をまだ聞いていなかったな」
「そういえばそうですね、貴方の名前は?」
ワタシとしたことがシェリル様に助けていただいてながら名乗っていなかったことに後悔した。
「ワタシの名前はジェフ・エルリックです」
ハイエルフであるシェリル姫に膝をつき臣下の礼で名乗った。
「面を上げなさい。今の私は王女でなく一介の冒険者です。そのような振る舞いはせずに普通にしなさい。
「しかし」
「……」
シェリル姫の無言のプレッシャーに私は立ち上がった。
ダークエルフを見ると何故か微笑んでいた。
なにがおかしいのだ?
ダークエルフを無視して歩こうとしたワタシに
「私は、ネイ。ネイ・イチジョウ冒険者だ」
その名前を聞きワタシは驚いた。
捕まった人間たちも驚いている。
……ネイ・イチジョウ6勇者の1人
『炎帝ネイ』ダークハイエルフで炎魔術を扱えば右に出るものがいないと言われた人物だ。
この出会いがワタシたち兄妹の運命が変ったことにこの時は気づかなかった。




