勇者が子どもでなにが悪い
前回の冒険の書を読みますか?
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「でも、なんとか入ってみたら魔物の秘密とか分かるかも知れないじゃない?」
「それは気になるけど…取り合えずここを探検しないかい?」
「そうね。買いたいものもあるし」
「まずは食料から行こうか」
二人は宿を出て食料を買える店を探していた。
その時、一人の女の人が寄ってきた。
「すみません、まさかなんですけど、勇者さんですか?」
「勇者は僕ですよ。どうなさいましたか?」
「やっぱりそうですよね!子どもだとは思ってなくて。あの、助けてもらいたいんです」
とても深刻そうな顔をしている。少し痩せ細った顔でもある。
「なんでしょうか。僕が力になれる事ならお助けします」
「頼もしいのね。ありがとう
実は、この数週間でなぜか城内の西側だけマキチューが大量発生していて困ってるの。近くの食料品売り場は品物食べられちゃって閉店してるし、家の倉庫も荒らされちゃって」
「分かりました。やってみましょう」
「お願いします」
それは深刻だ。それに、食料品売り場が開いてないとなるとこちらも困る。
でも、調べるって言ったって何を調べればいいんだ?
悩んでいると、リザベラが
「もしや、ノープラン?」
と聞いてきた。
図星だったので、僕は固まってしまった。
「あ、やっぱり?勇者って分かりやすいよね」
笑ってやがる。でも言い返せない。そしてデジャブである。
僕は空咳をひとつしてから言う。
「取り合えず西側を回ってみよう。なにか分かるかも知れないじゃない」
見ていると、僕はあることに気がついた。
側溝が詰まっているのだ。臭いもする。きっとこのせいに違いない。元を辿っていくと、人目に付かなそうな場所に水が染み出ている所がある。フタを開けたとたん、僕は腰を抜かしてしまった。リザベラも後ずさりしている。
確かに排水溝は詰まっていた。
マキチューの大群で。
どうやら原因は別のことらしい。一体なぜ大量発生したのか。そもそもいつもはどこにいるのか。
思い出した。
「リザベラ、この城の外の野原にはマキチューもいるんだよね?」
「極稀に、とは書いてあったけどね」
僕達が通ったときには見付からなかったが、もしや外でも大量発生しているのではないか?
野原を探し回ること2時間。やはり"極稀"にしか出てこないのか?
「ここの森の中とかいそうじゃない?ほら、足跡あるし」
「二時間でやっと手がかり発見か…行ってみよう」
足跡を辿って西側の森に入ってみる。なんだか木々が何かで折られたような痕がある。さらに奥へと行くに従って、地面がぬかるんできた。
水が流れる音もする。音のする方へ近寄ってみると、小川が流れている。しかし、決壊したようで、水はそこから染み出てきていた。
もしかすると、これは……。
「リザベラ、ちょっと聞いてみたいことがあるんだ。一旦戻ってもいいかい?」
「分かったの?」
「……多分」
城内に戻り、道行く人に尋ねてみた。
「最近、天候が悪かったことってありましたか?」
「確か…二週間前位かな?春の嵐みたいに荒れてた日があったな」
「そうですか。ありがとうございます」
「嵐がどうかしたの?」
「あの森の木々は枝がおれていただろ。それに小川も決壊したようだった。嵐でもおきて、森が荒らされたんじゃないかな?って思ってるんだ」
「なるほど。そうかもしれないわね。それで、どうすれば元に戻りそうなの?」
「きっと餌が無いんだと思う」
「そんなことくらい私だって分かってるわよ」
「そうなんだよね…」
「なによ!結局分かってないのね」
冒険の書に書き込みますか?
はい←
いいえ
・・・・・・・・・・・・
書き込みました。