変わらないのはつまらない
前回の冒険の書を読みますか?
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僕とリザベラは、それから三日間ただひたすらに歩き続けた。周りの景色は相変わらず、広がる野原と青いスライム。
「旅って代わり映えの無い、つまらないこともあるのね」
「そうだね。いい加減少しくらい地形が変わってもいいのに……スライムしかいないし。まあ、戦わないんだから何がいても一緒だけど」
「そんなことはないわよ。リザ、実はもう一つ仕事があるの」
そう言ってリザベラは背負っていたバックから一冊の本を取り出した。
そういえば家にもこの本があったかも知れない。魔物の図鑑である。
「この図鑑から変わったことはないか、新しい魔物は増えていないか、調べて書き込むのも仕事なの」
そんな便利なものがあるのなら、活用するまでだ。
「じゃあさ、ここに何がいるかも分かるんだよね?」
「うん。えっと……ほとんどがスライムで、極稀にマキチューがいるらしいわ」
「マキチュー?あの家の倉庫とかに出てくるやつ?」
「うん。でも家にいるやつよりは大きいんだって」
所謂"ネズミ"である。この世界には私たちの言うネズミはいなく、その代わりというか同じポジションにマキチューがいるわけだ。
「やっぱそのくらいしかいないのか。つまらない、あぁつまらない」
初日のやる気は何処へいったやら。しょげながら進んでいると、目の前に城とおぼしきものが見えてきた。
「ついにカダルナ城にやってきたのね」
「あぁ。今日は宿で寝れるのかな」
しかし、二人にはその前に越えるべき"壁"があった。
門番がいたのだ。
子供二人で何しに来たと言わんばかりの顔だ。
「お主らは旅の者か?」
「はい、そうです」
「なぜ城内に入りたいのかね?」
「宿に泊まりたいのです。また、食料も買いたいです」
「よかろう。怪しいものは持っておらんな?」
「えっと、剣があります」
「お主剣士だったのか?!あまり戦ってきたようには見えんが」
そしてさらに訝しげに僕らを舐めるように見る。
「戦わない剣士がいてはいけないの?それとも意味もなく自らケンカをふっかけていく様でなければ剣士でないとでも言うのかしら?」
リザベラが口を出した。
「言いたい気持ちは分かるけどなるべく穏便にいこうよ?」
僕は小声で伝える。
すると、門番は突然笑い出した。
「はっはっは。
……すまん。疑って悪かった。しかし、お嬢ちゃん気が強いな。それにそんなに素晴らしい考えを持ってる。確かにその考えなら何か起きない限り旅する剣士でも戦わない。この城の兵士にも、戦いに出たこと無いやつはたくさんいるもんな」
こうして無事城内に入ることが出来た。
冒険の書に書き込みますか?
はい←
いいえ
・・・・・
書き込みました。