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僕は勇者五代目!  作者: 齊藤さや
第二章~強くなるために~
22/43

お化け屋敷は怖いよね

前回の冒険の書を読みますか?


はい←

いいえ

 仕方無いのでリザベラを抱いて下山する。よいしょっ。思ってたよりも軽いんだね!山はやっぱり登るよりも降りる方がずっと楽だ。急いでなんとか夜中にはキナヴィアルに戻ることが出来た。


 そういえば今日は何も口にしていない。今は僕のことよりもリザベラの方が先だけど。病院はどうやら夜はやっていないようだが、明かりはついている。声を出せば誰か来てくれるかな?


「すみません、急病人なんです」


 奥のほうで、扉が開く音がした。その音が嫌に響くので、僕は身震いした。幽霊の類いが苦手なのだ。そして、ここは真夜中の病院。さっきの音は……。まさかね。


 玄関が開いて、白衣を着た背の高い男性が現れた。


「こんな夜中になんですか?急病人なら診ないといけませんが、高くつきますよ?」


「この子が倒れたんです」


「そうか、取り合えず入りなさい。その娘がベットで横になってから診ます。外は寒い」


 苛立っているようだ。

病院の中は至って普通の清潔感溢れる待合所になっていた。廃病院のようでなくて良かった。


「何をしているのです?こちらです、早く」


 リザベラをベッドに寝かせる。肌が倒れた時よりも青ざめていた。医者はリザベラを診ながら僕に問いかけてきた。


「倒れてから随分と経っているようですが、何をしていたんです?」


「山の上で倒れてしまって、やっと着いたんです」


「なんでレスキュー呼ばなかったんですかね。まあ良いでしょう。息はしているし、心音も特に異常はなさそうですよ。朝になったら血液検査でもしてみます。取り合えず点滴打っときますけど」


 今にも舌打ちでもしそうで感じ悪いな。本当にこの人医者なの?他に病院が無いから仕方無いけどリザベラはちゃんと回復して元気になるの?


「あ、今のところ診察料5000ペルね。まさか払えないとか無いでしょうね?わざわざ時間外に対応してあげたんだし」


 ちょっと待って、僕も倒れていいかな?これは財布を確認するまでもない。


絶対足りない


「はぁ、無いの?一応退院できるまでは診るけど、医者としてほっとけないから。払えないとなると……体で返してもらうしかないな」


 振り向いてリザベラをちらと見ながら医者は言った。そんな、リザベラは悪くないのに。どうにか稼がなければ。


「退院まで待ってください。必ず持ってきます」


 リザベラの様子が心配で出来るならずっと側にいてあげたいのだが、仕方無い。僕は病院を飛び出した。

 お腹が鳴ってるが、いつもの食事で我慢だし、もうこの際野宿だ。

どうすれば稼げるのか?誰か助けたお礼にくれないかな?朝起きたら困ってる人を探そう。




 そして次の朝、街中の人に話しかけてみた。猫がいなくなっただの、薬草が欲しいだの、困っている人は思いの外多く、色々助けていたら、1000ペル分の金品が集まった。お金持ちの街は違うね。


 だが合わせても、所持金3710ペル。まだあと1290ペルも足りない。そして、残るお願いは

"店番を頼んだ"だ。時給300ペル出るという。やるしかない。よく並ぶ程有名らしい店でのレジうち。



5時間半後


「……」怖い。お客様は怖い。レジうちの人ってこんなに大変だったんだね。経験者募集だったけど、隠してなんとか雇ってもらったから、打ち方分からないなんて言えないし、遅いとお客様からヤジがとんでくるし睨まれるし。帰り際にもおじさんから1時間説教くらったし。


 ともかく、これでやっと治療費を払える。リザベラのことだし、今頃は元気になっているだろう。小走りで病院まで急ぐ。


「面会したいんですけど」


「ここに名前をお書きください」


 カキカキ……勇者五代目っと。


「どなた様の面会ですか?」


「昨夜診てもらったリザベラです」


 受付の人は名簿を何枚か捲った。


「すみません。そのような方はこちらに入院しておりません」


 昨日僕が会ったのはまさか?


「……昨日の夜勤はどなたですか?」


「本当は教えるのはあまり良くないんですが……。ミハイ先生ですね、背が高い男性です。今いると思うので確認取りますね。イスに座ってお待ちください」


 幽霊じゃなかった。そこはホッとした。そういえばリザベラの名前は出して無かった。リザベラが目覚めたなら名前聞けるだろうけど。

それにしても一体なぜミハイ先生とやらは昨夜の事を伝えなかったのだろう?



冒険の書に書き込みますか?


はい←

いいえ


・・・・・・・

書き込みました。

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