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僕は勇者五代目!  作者: 齊藤さや
第二章~強くなるために~
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洞穴には危険が潜む

前回の冒険の書を読みますか?


はい←


いいえ

 寒さは僕らの体力を容赦無く削っていた。洞穴の中は吹雪の音はあまり聞こえなく、少し暖かかった。あの会話の50秒後には僕は眠りの世界に落ちていた。


 夜中に目が覚めてしまった。嫌な夢を見ていた気がするのだけど思い出せない。目が覚めるような夢だったのだろう。


 隣を見るとリザベラがいない。

そんなはずはない、僕はまだ夢の中にいるのかな?頬をおもいっきりつねってみた。


「痛いいたい」


 二つ目は反響である。僕の声はただ虚しく響いた。

じゃあリザベラはどこだ?こんな時間に図鑑でも書きに行ったのかな。外を見てみると、寝る前よりもひどく降っている。前も見えない。これじゃあ外にはいないだろう。


 それでは、奥にいるのか?


「リザベラ、いたら返事をしてくれないかくれないか」


 反響だけが返ってくる。

すると、奥の方でガタっと音がした。


「リザベラ、いるのか?いるのか?」


 今度は音はしなかった。誰か他にいるのか?それとも石などが落ちただけなのか。僕は暗闇の中をゆっくりと進んでいった。洞穴の先はなかなか長く、何もない。奥でまた音がした。目も馴れてきたので、歩調を早めた。


 話し声が聞こえてきた。咄嗟に岩影に身を潜める。


「そうなの?!凄いわね」


 この明るい声はリザベラだ!


「そうだ。それに、我輩こんなこともできるのだ」


「わっ!動けない。あっ、動ける。凄いわ!!どうしてこんなことできるの?」


「それが我輩の力なのだ。それに、我輩は音に敏感でもある。どうやらさっきから我輩たちの跡を付けてる誰かがそこにいるようだぞ。見てくるから待っていなさい」


 バレるとはまずい展開になった。いや、起きてからずっとまずい展開ではあるんだけど。ここで隠れ続けるか、それとも逃げるか、はたまた潔く出ていくか。


「小僧が紛れ込んだか」


 不意に低い声が聞こえて、僕は思わず立ち上がってしまった。前には誰もいない。 恐る恐る後ろを振り返る。


「そんなに我輩が恐いかね。まあ、無理もないだろう」


 灯りが無く、よく見えないので分からないが多分黒いマントを羽織った、顔の青白い男が立っていた。


「何を隠そう、我輩はかの有名なドラキュラ伯爵五世なのだから」


 ド、ドラキュラ?!えっ?!あのドラキュラ?!おとぎ話の中にしかいないと思ってたよ?!


「驚いて声も出ないのか。まあ良い。小僧は後でたっぷりと可愛がってやろうではないか」


 そして、リザベラの場所に戻っていった。 リザベラが危ない。何故逃げようとしないのだろう。それどころか親しげに話していたよな。取り合えずこっそり武器を取りに行かないと……。


「我輩から逃げようとしたって無駄だぞ。 そうだ、ひとつ良いことを教えてやろう。この娘は好んで我輩と一緒にいるそうだ。小僧などよりも我輩と共にいる方が何倍も良いとでも思ったんだろう」


 また背後から声が聞こえた。いつの間に動いていたのだろうか、振り返るのでさえ恐ろしい。 でもそんなまさか。あの頭の良いリザベラが自らこんな如何にも怪しいやつに?

 でもそうだよな、僕よりも経験も積んでそうだし、僕なんか欠点ばかりだもん。そっか、そうだよな。ここで大人しく待ってるしかないのか。


「それにしても美しいな。肌も透けるように白くて 」


「伯爵様こそ素敵ですわ」


「ありがとう……チュッ」


 えっ?!ちょっと……。キスしたよね?えっ?リザベラも顔赤いし。 しかもなにあの胸焼けしそうな笑顔。鋭く尖った犬歯がのぞいているのが気になる。


「そろそろ始めるとするか。ちょっと痛いかもしれんが我慢してくれたまえ」


ドラキュラはその口を目一杯開けた。リザベラは依然笑顔だが、少し震えている。


「大丈夫。悪いようにはせん、ちょっと貰うだけだ。安心していなさい」


「はい。伯爵様」


 リザベラは身体を完全にドラキュラにあずけたようだ。


「そうだ、良い子だ。そのまま力を抜いていなさい」


 再び牙を出し、首筋に噛み付いた。


「…あうっ」


 リザベラの肌に牙が突き刺さり、赤く滴る血を舌が不気味に舐めとる。一度口を放したかと思うと、今度は首に吸い付いていく。リザベラは気を失ったのかぐったりしているようだ。

 このままではリザベラの命が危ない。


「そんなに心配なら助けに来ればよいものを」


 また背後から低音が響く。


「あんな美人を一度で終わりにしてしまうのも惜しいのでね、まだ血は残ってる。今は気を失っているだけだ」


 舌なめずりをする音も聞こえる。 後ろ向こうと思ったが、首は固まったかのように動かない。 また金縛りか?今回はリザベラに魔法をかけてもらってないしどうすれば解けるんだ?


「あの娘と同じことされるのではないかと思っておるのかね?ハハハ、我輩は女の血しか吸わないから 安心したまえ」


 ドラキュラは前にまわって僕の顔を覗き込んできた。鼻が高くあまり見かけない感じの整った顔だ。そして目が血走っているのが分かった。


「さて、邪魔物の始末はどうするかね?まずはこの腕をもいでやろうか」



冒険の書に書き込みますか?


はい←

いいえ


・・・・・・・・・

書き込みました。

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