環境に優しいリユースびん
お久しぶりです。
前回の冒険の書を読みますか?
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それから二週間ほど歩いた頃だろうか。もう日付感覚が全く無い。地形は野原からケスタへと変わっていた。魔物も三十種類程……そうじゃないでしょ……三十六種類見つけた。新種もいなければ、絶滅したのではと思うほど見ない魔物もいない。
だがこれが意外と時間を食ってしまう。
「ここら辺にメタリックスライムがいるはずなんだけど」
と聞いたときには無視しようと思いかけた。メタリックスライムだけに二日かかった。途中で会った旅人は、
「もしメタリックスライムに遭ったら戦って見ると良い。逃げ足は早いが、勝てば経験値が山のようににもらえる」
「だから、経験値ってなんなのよ。負けたらもらえないものなの?」
「もしメタリックスライムに遭ったら戦って見ると良い。逃げ足は早いが、勝てば経験値が山のようににもらえる」
「リザベラ、たぶん何度話しても無駄だよ。取り合えず見つけないことには先に進めないんだろ?早く探そう」
まあ、そんなことを言っていたのだが、もちろん戦わなかった。
気になったんじゃないのか。僕は気になったよ。逃げていくアイツが恨めしかったよ。
そうそう、今はちょうど目の前に滝が見えてきたんだった。
「滝の下の方になにかありそうじゃない?」
「確かに。光っているしね。行ってみよう」
近くまで来ると、マイナスイオンと言うのだろうか、とても落ち着き、爽やかな気分になってきた。
水も透き通っていて、底まで見えそうだ。
「そこじゃなくて滝の下!やっぱりあるわ」
「取ってきてみるよ」
「お願いね」
幸い、滝の辺りは浅くなっていて、歩いて行けた。それでもやはり、水飛沫は僕の体を散々に濡らした。
「ビンが数本滝に打たれてる!」
「一本持ってきてよ」
「ごめん、よく聞こえない」
「なんて言った?」
「もう一回言って」
「一本持ってきてよ」
「分かった」
取ってみると突然滝が二つに割れて、洞窟が……
なんて事はもちろんなかった。
ビンの中にはおそらくここの水だろう、透き通った液体が入っていた。
「はい、これがあった」
手渡すと、リザベラはフタを開けて飲み干してしまった。
「美味しかった!勇者ありがとう」
ええ、どういたしまして……っておい!
「中身知ってたの?」
「当たり前じゃない。リザ、薬屋の娘なんだから。
これはね、聖水って言うもので、飲むだけで元気になる魔法の水よ。他にも色々と使い道があるんだけどね」
「へぇ、そんな物があるんだ。僕が飲んでも大丈夫だよね?」
「あ、飲みたかった?じゃあ、取りに行くついでにこれ返しといて」
空になったビンとフタだ。
「水入れとけばいいの?」
「フタ閉めて滝の下に置いといて!いつかエルフが水入れてくれる」
空のビンを置いて、僕も聖水を飲んでみた。普通の水と味は変わらないのだけれど、力がみなぎってくる。
この世界にはまだまだ驚きがありそうだ。
冒険の書に書き込みますか?
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いいえ
・・・・・・・
書き込みました。




