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僕は勇者五代目!  作者: 齊藤さや
第一章~戦うイギ~
10/43

偶然なのか、なんなのか

前回の冒険の書を読みますか?

はい←

いいえ

実はその夜・・・・・・


「王、勇者なる者がマキチューの問題を解決したもようです」


「そうかね。あれほどの量のマキチューを倒すのはさぞかし苦労したであろう。明日にでも褒美を遣わそう」


「それがですね…倒したのではなく、笛で操り、森に帰したとと聞いておりまして」


「なんと。それは面白いやつが来たものだ。是非とも話を聞きたいものだ」


「では、明日呼んで参ります」


「そうしてくれ」




翌日 朝


 朝食を済ませた僕とリザベラは、今度こそ買い出しに行くため、宿を後にしようとしていた。


「ここに勇者が泊まっていると聞いたのだが、勇者殿はおらんかね?」


 二人はどうしたものかと顔を見合わせ、慌てて行く。


「僕が勇者ですが」

思わず小声になる。


「(まさか子供とは)お主が勇者殿か。王様がお会いしたいそうだ。至急城に来ていただきたい」


「はい」


 声が震える。いきなり王様に会えなんて。


「私は外にいるから、準備ができたら言ってくれ。案内する」


「分かりました」



 服装を整え、と言っても今着ているものと他に全く同じ服を二着しか持っていないので、なるべくきれいな物に着替えた。


「リザベラ、僕は城に行ってくるけど、もし捕まったりして帰ってこなかったら後を頼む」


「ちょっと……そんなこと言わないでよ」


「何があるか分からないしさ。

じゃあ行ってくる」



「準備はできたか?」


「はい。お願いします」


 城の前は厳重な見張りが付いていて、全身を調べられた。もちろん剣は置いてきている。近くで見ると、城の大きさが改めて実感させられる。造りも良くわからないがきっと凄いものなのだろう。


 中に入ると、これまで見たことの無いような広い空間が現れた。

今まで村の外に出たことが無かったのだから当たり前といったらそれまでなのだけれど。


 さらに奥へと進む。


「ここが王様がおわす部屋だ。ここからは自分で行ってくれ。


王、勇者をお連れしました」


「勇者殿、入ってよいぞ」


 厳かな扉を開けると

目の前には



 いかにも王様というような髭をこしらえた王様がいらっしゃった。


「よくぞこのカダルナ城に来たものじゃ。昨日は、あのマキチューを追い払ったとか。私からも感謝したい、勇者」


「めっそうもございません」


「その事なのじゃが、何でも笛で操ったと聞いておる。いったいどうやったんじゃ?」


 やはり怪しいものだと疑われているのかな?早速大事な場面だ。ここは慎重に答えねば。

……と言っても自分でも出来たことが奇跡だと思っているのにどう説明すればいいかな……。


「あれは……偶然出来た事でございまして、決していつもやっているとかでは無いのでございます」


「そこまで言いたくないのか、本当に偶然なのかは分からんが、まあ良い。この城の危機を救ってくれたんじゃ。褒美を遣わそうと思ってな、そこの宝箱に入っておる。開けてみぃ」


「はい」


 なんで人に物を渡すときは宝箱経由なんだろうか?

開けてみると中には4000ペルと、鋼で出来た立派な盾が入っていた。

慌てて頭を下げて

「ありがとうございます」


「それはわしも同じじゃ。

そういえば、わしが王になったばかりの頃も勇者と名乗るやつが来たのぉ」


「僕の父でしょうか。父も勇者だったので」


「そうかもしれんの。顔も似ていたような気がする。


これからも旅を続けるじゃろうけど、無事に過ごせるよう祈っておこう」


「ありがとうございます」



 一方、リザベラは東側の食料品売り場で買い物を済ませ、こっそりとスカートを買っていた。


「頑張ったんだからこのくらい良いわよね」


 勇者を待つ間、城内を見てまわっていると、


「お嬢ちゃん、寄っていかないかい?君ならタダで占ってあげるよ」


 と声をかけられた。声の主はおじいちゃん占い師のようだ。時間ならあるし、どうやら偽物じゃないオーラを放っているので大丈夫だろうとみてもらうことにした。


「何か困っている顔だね」


 ありふれた質問だ。そこは正直に打ち明けてみよう。どうせ偽物なら答えられないだろうし。


「はい、実は私は旅をしているんですけど、何のために魔物と戦うのかが理解できないのです。そもそも魔物とは何なのでしょうか?」


 すると、占い師はまるでこの質問を知っていたかのようににっこり笑ってこう答えた。


「それは旅をしていればわかることでしょう。分かるまでは無理に戦う必要は無いと思いますよ」


 占い師らしい答えだった。

さらに占い師は続ける。


「意味の無い旅など無いのですから」


 柔らかな笑顔とは違い、言葉には確かな力強さがあった。


「旅の意味はいつか分かるときが来るのでしょうか?」


「どちらの疑問も辿り着く答えは同じ。真の意味を知るときも同じ。しかし、考えるのです。意味も無く旅をしていては得られるものも無くなってしまうから」


 リザベラは頭では理解できないが、心の何処かでは納得できた気がした。


「ありがとうございます」


「これからも君の旅に神のご加護があらんことを」



 城の前で様子をみているとすぐに、勇者が出てきた。新しい盾を持っている。


「良かったじゃない、捕まったりしなくて」



勇者が、リザベラの姿を見つけ走ってくる。


「無駄に心配かけてごめんな」


「リザは勇者の事信じてたわよ。リザが間違うわけないじゃないの」


「そ…そうだな」


「勇者が城にいる間に食料買ってきたわよ。さあ、行きましょ」


「あぁ。まだ旅は始まったばかりだしな」






冒険の書に書き込みますか?

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いいえ


・・・・・・・


書き込みました。

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