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酷い扱いをしてきた婚約者が今更「俺のこと好きじゃなかったの!?」と騒いでいますが、もう手遅れです。

作者: スズイチ
掲載日:2026/03/05


「――ねぇ、ハンゼル。婚約者のセリーナさんのこと放ったらかして、こんなとこに居てもいいの? あなたのこと、探しているんじゃない?」


「いいよぉ、別に。それよりも今は君の膝を堪能してたい〜」


「ふふ。もう、甘えん坊ねぇ」


 ――お昼休み。

 

 2人分のランチボックスを持って、婚約者のハンゼル様を探していたのだが……。

 ようやく見付けた彼は、中庭のベンチで綺麗な女子生徒の膝の上に頭を乗せて気持ち良さそうに寛ぎながら、こんな会話をしていた。


「…………」

 

 私は視線を落とすと、腕に抱えているランチボックスをぎゅっと握りしめる。


(また無駄になってしまいましたね……)


 彼らに見つからないように踵を返すと、急いでこの場を去る。

 誰も居ない校舎裏まで来ると、私は大きなため息を吐く。


(……もう疲れました)

 

 婚約者のハンゼル様は、いつも知らない女の子たちと一緒にといた。

 手を繋いでいたり、後ろから抱きしめていたり、肩にもたれ掛かっていたり。……今日は膝枕でしたね、と先ほどの光景を思い出す。


 ハンゼル様――明るく陽気で……私とは、正反対の人。

 人気者の彼が婚約者になったとき、周りからは随分と心配されたことを思い返して苦笑する。


 もともと、あの方は乗り気ではなかったのだろう。彼は自分と同じような明るくて社交的な女性との婚約を望んでいたのだと思う。

 

 ――だから、私なりに努力はしてみた。

 腰まであった髪の毛も、短い方が好ましいと言われてたので、今は鎖骨の下くらいで切り揃えてある。他にも、華やかで女の子らしい服を着てほしい。自分といるときは、ずっと楽しそうに笑っててほしい。

 ……そう言う彼の要望に、婚約者として応えてきた。


 私は近くのベンチに腰を下ろして、薄暗いこの場所からぼんやりと空を眺める。


「……このお弁当も」

 

 膝の上に置かれたランチボックスに、手を添えながら、小さく呟く。

 ハンゼル様が、私の手作りのお昼ご飯が食べたいというので毎日用意していた。けれど、まだ一度も彼の口に入ったことはなかった。


「今日も無駄になってしまいましたね……」


「無駄じゃないだろ」


 小さな呟きに言葉が返ってきたので、驚いて振り返ると、そこに居たのは幼馴染のロベルト様であった。見慣れた姿に私は安堵の息を吐く。

 

「君がここに居るってことは、あいつは今日も他の女子生徒のところか」


 呆れたように溜め息を吐くロベルト様に、私は眉尻を下げて笑いかける。

 

「今日も貰っていい?」


 私の持っているランチボックスを、ロベルト様が指差す。


「こんな物でよければ、ぜひ」


 大きい方のランチボックスを、ロベルト様に差し出すと、隣に座って蓋を開ける彼に、私はお茶の用意をする。


「こんな物なんて言うなよ。今日も凄く美味しそうだ」


「ありがとうございます」


 優しい彼は、いつもこんな風に慰めてくれる。

 以前、私が校舎裏で二人分のお昼を食べているところを見られて以来、お昼休みにやって来ては、こうやって食べてくれていた。


(ロベルト様が婚約者だったら、どれほど幸せだったでしょうか……)


 そんなことを考えて首を左右に振る。

 彼と私では家柄が違いすぎる。それに、婚約者のいる身分で、こんなことを考えるのは許されない。


「――ご馳走さまでした。今日も美味かった」


「お口に合って良かったです」


 爽やかな笑顔で、そう言ってくれるロベルト様に笑顔を返すと、休憩時間を終える鐘がなるまで穏やかな時間を過ごすのであった。


 ◇

 

 ――放課後。

 帰宅の用意をしていると、ハンゼル様が教室にまでやって来て、私にプリント渡してくる。

 

「セリーナ〜。この課題やっといて〜」


 彼の言葉に肩を落として、息を吐く。


「……あの……またですか? たまには、ご自分でなさってみては……」


「え〜。別にいいじゃん。婚約者でしょ? このくらい、やっといてよ――それと」


 まだ何かあるのかと、私は身構える。


「あそこで泣いてる子、どうにかしといて」


 ハンゼル様が窓の外を指差すので、窓を開けて下を覗いてみると、植え込みの近くで蹲って泣いている様子の女子生徒がいた。


「……どうにかって……また、女の子を泣かせたんですか……?」


「そう。しつこい子でね〜。面倒だから、いっぱい酷いこと言って諦めてもらおうとしたら、泣いちゃってさ〜。評判落ちると困るし、いつもみたいにフォローしといてよ。んじゃ、よろしくね〜」


「……え!? は、ハンゼル様!? 待ってくださ……」

 

 手をひらひらさせながら、教室を出て行くハンゼル様。

 ……彼が私に声を掛けてくるのは、課題を押し付けたり、こうして自分の尻拭いをさせるときだけだった。


「……はあ……」


(これで、何人目なのでしょうか……。なぜ、私がこんな役回りを……? 婚約者とは、いったいなんなのでしょうか……)


 ぎゅっと目を瞑ってから大きな溜め息を吐くと、私はカバンの中に彼から渡されたプリントを放り込んで、泣いている少女の元へと向かった。


 ◇

 

「――お嬢さん。まだ帰らないのか?」


 図書室でハンゼル様の課題をこなしていたとき、頭上から声がしたので顔を上げるとロベルト様がいた。


「……ロベルト様」


「……っ! セリーナ、その顔どうした!?」


 私の顔を見て、驚愕するロベルト様。


「……これは」


 先ほどの泣いていた女子生徒に引っ叩かれたものだ。彼女に声を掛けたら泣き叫ばれ、頬を叩かれてしまった。

 十分に冷やしたつもりだったが、まだ跡が残っていたらしい。

 なんて言っていいのか分からず、私は視線を逸らす。


「――こっち来て」


 ロベルト様は私の手を取り、立ち上がらせる。そのまま私のカバンを掴むと、図書室を出て医務室へと連れて行かれた。

 室内には誰もおらず、代わりにロベルト様が手当てをしてくれる。


「なぁ、セリーナ。このままで、いいのか? こんな扱いを受けて……。この怪我、あの男が関係してるんだろ? おおかた、手を出した女子に恨みでも買って、お前に矛先が来たとかじゃないのか?」


 まさか、ハンゼル様の尻拭いのために女子生徒と話をつけて、逆上した相手に殴られた……なんてことを言えるわけがない。

 丁寧な手付きでガーゼを頬に貼ってくれるロベルト様に、私は誤魔化すように笑いかける。


「……仕方ありません。とても人気のある方ですし……」


「……あれは人気があるというより、節操なしって言うんじゃないのか?」


「……あはは」


 ロベルト様の言葉に、乾いた笑いを漏らしてしまう。

 

「次、なんかありそうなら、俺も呼べ。一緒に行くから」


「……ですが……」


「いいから、必ず俺に言え。もう絶対に、こんな怪我するな」


 真っ直ぐに私を見つめてくるロベルト様。

 あまりに真剣な様子に、拒否することこができずに、視線を落として頷く。


「……はい。ありがとうございます」


 本当にお優しい方だと思いながら、私は貼ってもらったガーゼにそっと触れるのだった。


 

 ◇


  

「セリーナ、大丈夫? あなたの婚約者さん、今朝も他の女子生徒と浮気してたわよ」


 ――翌朝。教室で授業の準備をしていたら、友人のクルアが心配そうに、私の顔を覗き込んできた。


「……そんな、大袈裟なものじゃありませんよ。ありがとうございます、クルア。心配してくれて」


 取り繕うように笑うと、クルアが腕を組んで首を傾ける。


「え〜? ほんとにぃ? 他の女の子たちと手を繋いだり、抱き合ってたり、膝に乗せていたり……私なら耐えられないわ、あんな浮気性の男性。あなた、よく平気な顔をしていられるわね」


「……それは」


 当然、思うところはある。けれど、どうすればいいのか分からないのだ。

 どんなに彼の望むようにしても、ハンゼル様は私のことなんて見ようともしない。


「セリーナは、気にしないふりをしているだけなんじゃないの? だから、そんな他人事みたいに振る舞えるのよ。私だったら絶対に無理だわ。婚約者には、私だけを見て愛してほしいもの。……可哀想なセリーナ。こんなふうに強がらなきゃいけないなんて……本当に不幸だわ。元気だしてねぇ?」


「……ありがとう、クルア」


 クルアの少し意地悪な言い方に、胸がチクリと痛む。クルアとは中等部からの友人だが、このような物言いを頻繁にしてくる。

 悪気はないのだと思う……だが、この物言いのせいか私の他に友人はおらず、どこか浮いていた。悪い子ではなのだけど……と思いながら先ほどの言葉が脳裏に過ぎる。


(可哀想、ですか……)

 

 ――それでも、私には一つだけ支えとなっていることがあった。

 ハンゼル様は、パーティーの場では必ず私と一番最初に踊ってくれていたのだ。


 これが私の唯一の救いになっていた。



 ――なっていた、のに……。


 ◇ 

 

「悪いけど、今日は最初にクルアと踊るから」


 学園主催のパーティー会場で、突然ハンゼル様にそんなことを言われて呆然とする。


(――今、何て言われたの?)


 ギラつくシャンデリアに照らされたハンゼル様を、私はただだた見つめる。その隣には勝ち誇った表情のクルアがいた。


「……クルア、と? どういう……?」


 なぜクルアと? どういうこと?

 同じ言葉ばかりが、ぐるぐると脳内を駆け巡る。


「ごめんねぇ、セリーナ。ハンゼル様がどうしてもって言うから……ふふっ」


 楽しそうに笑いながら、ハンゼル様の腕に抱き着くクルア。


「これまでは、一番にお前と踊ってあげてたんだから別にいいでしょ〜?」


「そん、な……。クルア……なぜ? あなたハンゼル様みたいな浮気性な方は、無理だって……」

 

「ん〜。そうだったんだけどぉ、ハンゼル様が私のこと、本命だって言うからぁ。大好きだし、クルアに夢中だって……ね? だから、今日も私を一番最初のパートナーに選んでくれたの。驚いたぁ?」


 景色が歪んで見える。上手く呼吸ができない。

 ……なぜ、こんな状況になっているの? わけが分からない。これまでも、さんざん浮気をされてきた。放置もされてきた……。でも、私は婚約者だからと耐えてきたのに……。


「……なん、で……」 


「……はあ? なにその顔。もしかして、不満なの?」


 ハンゼル様の不快そうな声。


「ふふっ。惨めで可哀想なセリーナ」


 クルアの嘲笑うような声。


「不満なら婚約破棄する? 俺は別に、かまわないけど?」


 ――彼にとって、私とは何なのだろう?

 自分の後始末をつけてくれる、都合の良い存在? 言うことを何でも聞く愉快なオモチャ?

 私はあまり感情が表に出ないから、その分、頑張って彼に尽くしてきた……婚約者だからと。


 ……その結果が、これだなんて。


 虚しい、苦しい、心が折れそう……。


 でも今は、それよりも。そんなことよりも――。


(いい加減、我慢の限界です……)


 私は静かに息を吸い込むと、真っ直ぐに二人を見つめる。


「――はい。そうしましょう」


 声が震えそうになるのを我慢して、ピシャリと言い切る。

 声だけでなく、身体も震えそうになるが、今だけは耐えてほしい。私はきゅっと口を結ぶと、もう一度口を開く。


(絶対に、この人たちに弱味なんて見せてやるものですか……!!)


「婚約破棄の申し出、お受けいたします」


 私の言葉に、呆然とするハンゼル様とクルア。

 

「…………は?」


 暫くの間のあと、ハンゼル様が慌てた様子で口をパクパクさせる。


「な、なに言って……婚約破棄だよ? ほんとに、分かってんの!?」


「はい。貴方と他人になれる――ということですよね」


「な、なんだよ、その言いかた! まるで、それを望んでたみたいな……」


 ハンゼル様の言葉を聞いて、私はにこりと微笑む。


「――ええ、そうですね。やっと、貴方から解放されると思うと嬉しくて仕方ありません」


「……は? は!?」


 今度はハンゼル様が、わけが分からないというような声を上げる。


「なんで? なんで? なんで!? 俺のこと好きじゃなかったの!?」


 彼の言葉に、思わず笑ってしまう。


「……好き? まさか。婚約者だから、仕方なく尽くしてきただけです。本当は、ずっと辛かった。貴方に無碍に扱われることも、尻拭いをされられることも。でも、それもこれも今日で終わりだと思うと清々いたします」


 私の発言に、ハンゼル様の頬がヒクリと引き攣る。


「……は? ま、待ってよ……お、俺のことが好きだから、髪を切ったり、昼食を作ってきたり、華やかなワンピースも……明るい色のリップも……俺のために……俺が好きだから……じゃ、なかった……の?」


「逆にお聞きしたいのですが、こんな扱いをしてきた相手を、貴方は好きになれるのですか?」


「……で、でも、俺ちゃんと最後に、お前のとこに帰るつもりで……お前が全部、綺麗に片付けてくれるから、安心して遊んでられたし……こんなの学生のうちだけで……だから、今のうちにいっぱい女の子たちとって……真面目で面白味はないけど、俺の言うこと真に受けて頑張ってる姿は、可愛げがあって嫌いじゃかなったし……っ……」


 言葉の途中で黙り込むハンゼル様。

 彼のことを好いてると思われていたんだ……だから、あんな好き勝手な行動を……? 理解できずに溜め息を落とすと、私はクルアに視線を移す。


「――クルア。もしかして、次はあなたがハンゼル様の正式な婚約者になるのかしら。だったら、覚悟しておいた方がいいわ。この方、婚約者には何をしてもいいと思っているみたいですから――ご愁傷様」


 私の言葉に呆然としていたクルアの顔が赤く染まり、口を大きく開けて喚き散らす。


「はああ!? なんで、あんたにそんなこと言われなきゃなんないのよ!! 可哀想で不幸なセリーナ! あんたを笑うために、今日は来てやったのに!! いっつも澄ました顔して、ムカつくのよ!! 調子に乗るな、ブス!!」


 あまりの口汚さに瞬きを繰り返す。


「……そう。やはり、貴方の言葉には悪意があったのですね。貴方の本性を知ることができて良かったです。もう二度と貴方とも関わりたくありません」


「はっ! こっちのセリフよ!!」


 クルアが吐き捨てるように言った次の瞬間、ハンゼル様が乾いた笑い声を漏らす。


「……はっ、はは……ははは……なぁ、セリーナ……俺と婚約破棄して、どうするわけ? お前のことなんて誰も貰ってくれないだろ!? おとなしく、これまでみたいに文句言わずに、俺の尻拭いをしてればいいんだよ!!」


「――じゃあ、俺がもらうよ」


 突如、降りてきた言葉に全員が振り向く。


「ロベルト様!?」


 そこに居たのはロベルト様だった。

 声を上げた私に、ロベルト様は穏やかに微笑んでくれたあと、柔く手を取って真っ直ぐに目を合わせてきた。


「俺と婚約してほしい、セリーナ」

 

 思いもよらない言葉に唖然とするが、すぐに我に返る。

 

「で、ですが、貴方と私とでは家柄が違いすぎます……! 私では貴方と釣り合いません!」


 彼は公爵家の嫡男で私は下位貴族。身分差がありすぎる。


「そのことなら気にしなくていい。両親には伝えてある。とっとくに説得済みだ。――だから、君に選んでほしい、セリーナ」

 

「……ロベルト様」


 まさかご両親まで説得済みだなんて……大変だったでしょうに。そこまで、私のことを考えくれていたんだと胸が温かくなる。

 

 私はロベルト様の目を、しっかりと見つめ返す。


 艶かな黒い髪、澄んだ青空のような目。高身長で逞しく、見惚れような肢体――。

 ずっと思っていた。この方が婚約者なら、どんなに幸せなのだろうと。

 いつだって、私に優しく寄り添ってくれた素敵な人。そんな人が私を選んでくれるなんて、夢のようだと泣きそうになってしまう。


 ロベルト様に微笑みかけると、私は静かに口を開く。


「――はい。私でよければ喜んで」


 私の言葉に、安堵の息を吐くロベルト様。


「……ああ……良かった。必ず幸せにする」


「はい」


 数秒間を見つめ合ったあと、ロベルト様がハンゼル様たちの方へと振り返る。 


「というわけで、彼女はもらって行くから。あとは、お好きどうぞ。行こう、セリーナ」


「……ええ!」


 私はロベルト様の手を取り、踵を返して歩き出す。


「……は!? 待てよ! どういうことだよ、おい!? 俺のことは、どうするんだよ!?」


「ロベルト様とセリーナが!? どういうことよ! あの子が悔しがると思って、ハンゼル様の誘いに乗ったのに!! ふざけないでよ!!」


 後ろが何やら騒がしいですが、私には関係ないので、振り向くことなくこの場を後にしました。


 ◇

 

 ――その後。

 ハンゼル様とは、無事に婚約破棄できました。

彼はというと、口説いていた女性たち全員に本命だと言って関係を持っていたらしく、そのうちの数人の方が妊娠していたとのことで、大変なことになっているようです。

 こればかりは、私にもどうすることも出来なかったと思うので、本人はどうするつもりだったのかと、今でも疑問が残ります。

 クルアも、そのうちの一人だったようでハンゼル様に責任を取るように迫っていたようですが、果たしてどうなることやら……。学園も退学したので、今では知るすべもありません。


 ◇


 ――私はというと……。


 もう何も我慢しなくていい生活が楽しくて。とても、有意義な毎日を送っています。

 新たな友人と婚約者様に囲まれて、本当に幸せなのですが……。


「セリーナ、今度の休み一緒にでかけよう!」

「セリーナ、この花、君に似合うと思って買ってきたんだ」

「セリーナ、この作者好きだったよな? 新刊買っておいたよ」

「セリーナ、君に似合いそうなドレスを……」


 その婚約者様の、甘やかしが止まりません……!

 

「ま、待ってください、ロベルト様! 今まで、さんざん蔑ろにされてきたので、慣れません!」


「じゃあ、慣れてくれ。これから先、もっともっと可愛がるし、全力で甘やかしていくから」


 とろりとした笑顔を向けられて、ぐっと言葉に詰まる。


「……て、手加減してくださいね?」


「ははっ、考えておくよ」


 そう笑うロベルト様は、私を膝の上に座らせると、甘いお菓子をめいっぱい食べさせてくれるのだった。


 

 ◇おわり◇




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