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地に落ちた龍と、お互い様と

 「報告感謝する。引き続きよろしく頼むとルアルに伝えてくれ。」

 「わかりました!」

アムールの谷からの使者であるレガは頷いて、その小さき身体で瞬く間に谷に戻っていった。






 「人間たちには困ったものだ……。」

そうため息をついたのは龍の長、パースだ。

 「かつては崇め称え、今やただの道具とみるか。」




 龍の力は魔族の中でも強大だ。その力は雨雲を呼び寄せることもできれば激しい風をも生み出す。

 炎を吐き美しい姿で空を飛ぶその姿に、かつて人間たちは崇め称えた。

 しかし、それはそのうち恐怖にかわっていった。人間たちは龍から離れた。


 ある時、人間の土地に龍が落ちた。

 人間たちは恐れ慄いた。が、その龍は死んでおり動くことはなかった。暫く遠くから見ていた人間たちだったが、一人の人間が龍に向かって歩き出した。龍の美しい鱗や爪をもっとそばでみたいと思ったのだ。


 その人間が恐る恐る龍の鱗に触れると、それは見事な手触りをしていた。鱗を剥がし日に当てると、宝石にも劣らぬ輝きをみせた。

 人間たちは歓声をあげた。

 落ちた龍は、人間たちに余すことなく喜ばれ、利用された。

 鱗は丈夫で美しく、牙や爪はあらゆるものを切り裂き、血肉はそのまま人間たちの血肉になった。


 人間たちは理解した。

 "龍の力は恐ろしいが、その身体はとてもつかえる"。

 そして、龍は人間たちから道具としてみられるようになった。





 「殺してでも奪うという人間たちの考えは理解に苦しむ。」

パースはそう呟きながら、今回のアムールの谷の件をマルベーリに伝える便りを出した。









 






 その頃マルベーリからアソオスから話しを聞いていた。


 「 話しはわかった。そこでアソオスよ、何故少女の靴が魔道具だと思ったのじゃ?」

 「 それは……どういう意味でしょうか?」

 主の問の意味がわからなかったアソオスは困惑な顔をして聞き返した。

 「お主は剣の少女は魔法を使いゴーレムを傷付けたと言ったじゃろう。それはわかる。呪文のようなものを口にしながら切ったと言ったからの。じゃが靴の少女はどうじゃ。その少女が靴に魔法を使っていたとは考えなかったのか?」

 「それは……あの靴には常に魔法がかけられていました。私にはあの少女が常に魔法をかけていられるようには見えなかったのです……。」

 「なるほどな。」

マルベーリはそのアソオスが出したその答えに頷くと、サクリと焼き菓子を食べた。


 「……申しわけございません。」

主の望む答えを出せなかったのだろうか、と思ったアソオスが謝罪の言葉を口にする。

 「何に対しての謝罪じゃ。我のほうがお主に対して謝らねばならぬ。せっかくの休暇にそのような思いをさせてしまったこと、申し訳ない。」

 「私に対してそのようなお言葉……とんでもありません!マルベーリ様は何も悪くありません。」

 「そういうことじゃよ。これでお互い様じゃ。」

マルベーリはニコリと笑った。


 「お主にはまた今度改めて休暇をとらせよう。その時にまた行くが良い。」

 「ありがとうございます……!」


 マルベーリは微笑みながらハーブティーを口にした。


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