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マリアンヌ、かく語りき  作者: 境 時生
8/9

閑話休題

第8章

 ここ数週間は、嵐のようだったわ。ここ数年は商売も順調に拡大して、借金完済だけでなく、よりどころをなくした女性のための施設を作ることができて、ちょっと安心しちゃってた。あれだけ順風満帆な時期が長かった分、いろいろな事件が一気に襲ってきた感じ。


 それにしても、あんな取り乱したリッカルド、初めて見たわ。彼なりにイザベラ様を愛していらっしゃったのね。お子様はおできにならなかったけど。ここだけの話、マリア殿のお子さまの父親はリッカルドであった欲しかった。どう見てもお二人のご様子、お互い魅かれあっているのは明白だったし。でもまさか父親がフィリップ殿の子とはね。どうして、こう男女の仲で複雑で面倒になってしまうのかしら。


 唯一うれしかったのは、エレノア様と理解し合えたことだわ。あのフランソワの愛人の仕事だけは、リッカルドからの依頼とはいえ、ちょっと後ろめたい気がしていたから。まあ、エレノア様に男が夢中になるのもわかるわ。私とは正反対のタイプの女性だけど、素晴らしい方ね。あれだけの運命に翻弄されても心が曲がらず、自分を卑下しない方も珍しいわ。今からでもエレノア様には幸せになってほしい。でも母親としてフィリップのことが心配みたいね。私には母親の気持ちは本当のところ、わからないけれど。


 ここまで書き留めてきたけれど、ついに皇帝軍が南下してくるっていう噂が絶えないし、私もちょっと安全なところに避難しないと。それに、かわいいマリアのこともあるわ。私が守ってあげなきゃ。しばらくはヴェネツィアに落ち着いて、マリアの面倒を見て平和に暮らそう。ああ、男に頼らず経済的に自立できるって、本当にラッキーね。自分の腕だけを信じろと教育してくれた母に感謝だわ。


 私の独り言は、とりあえず、ここまでにするわ。

過去を振り返るなんて柄にもないことなんだけど、なんとなく、もしかしたらいつの日かマリアに私の生きざまを伝えておきたくなるかなって、ふと書き留めておいたのよ。


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