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深呼吸

作者: ゆっか
掲載日:2023/09/16

焦った心に囚われることはありませんか。

私はよくあります。

そんな心から解放される過程を詩にしてみました。

焦っているな、と思う。

いまさら何を焦っているのか。

心臓の半分が本当に汗をかいて、ちりちりと火に焙られている感じがする。

そんなことじゃ何もできない。

たとえできたとしても、自分すら納得するものはできない。

空回りだ。貴重な時間と労力をどぶに捨てるようなものだ。

そんな思いにかられて、うろうろと私は自室を歩き回る。


何をしようという訳でもない。

方向性が定まらないのだ。


取り分けて何をするでもない人生というのもあるかもしれない。

ただ与えられたものを味わい、日常の仕事をそつないようにこなすだけ。

でも、自分が、それで満足できるだろうか。

死ぬとき、後悔にさいなまれないだろうか。

窓の外の雲は濁って雨の気配がする。

空を行くカラスは私以上に焦って、バタバタと音を立て翻って、山の方へ去っていく。


私は出来が悪い。

何が悪いって心の出来が悪いのだ。

心は人生の基本だと思う。

土台が悪ければその上に乗るものは不安定で質は良くない。

物が悪いばかりか、事故まで起こす。

仕事にありつかない。

友人に去られる。

絵に描いたような不良債権だ。

もちろん自分で家庭を営むことなど無理の上のまた無理。

音を小さくしたラジオからは、台風が大きな被害をもたらすだろうと告げている。


焦るな。と言い聞かせる。


深呼吸をしてみよう。

瞑想と言われる奴だ。

瞑想アプリを開き、目を閉じて座ってみる。

一分、二分。

イライラ、そわそわが止まらない。

ああそうだ、ラジオをつけっぱなしにしていた。

スイッチを切って、もう一度、瞑想アプリに向かう。

背筋を伸ばす。

動いてしまうてのひらを両の足に強く押し付ける。


5分。

心は鎮まったのだろうか。

分からない。

私の心は荒れっぱなし。

ただ、少しだけ心臓の一部が柔らかくなったのを感じる。

そこから、暖かいものが流れていくのを感じる。


この、細く、うっすらとした暖かい流れに注意してみよう。

この流れに慎重に身を任せれば、どこか違うところに行きつけるかもしれない。

冷房の運転音が高くなった。


私は今、外に出ている植木鉢のことを考えている。

あれに水をやって、ラッピングでもして、友人の誕生祝に持っていこうかと考えている。

不器用な私の仕事になるが、気持ちよく受け取ってくれるだろうか。

嵐が来る前に作業を終わらせたい。

行き当たりばったりの考えかもしれないけれど、丁寧にやれば、きっと受け取ってくれるだろう。


ささやかでも外の世界に働きかけたい。

そして、何か歓びを作りたい。

心を使いこなさなければ。

柔らかい優しい豊かなものを少しでも引き出していかなければ。


焦った心は他の人の心を平気で踏みつけすらする。

同じ過ちをもう繰り返すまい。


鉢の花は満開だ。

私を待ってすらいるのだ。

きっと友人も私の再生を待っている。

心がうまく良く働きますように。私もあなたも。

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