第十一話 花吉兆の翠豊かな大地へ
…これ以上はとてもでないが、容認出来ぬ!!
(菫がお色直しに向かって行った後に、厳の爺さんの怒号が大広間に響いてしまう。縁祖母ちゃんの容体が危険な為と判断した為だった。医師も酸素ボンベを車から持って来て、祖母ちゃんの口元に当て始める。その様子を千紗伯母さんに支えられながら見ていた俺は、縁祖母ちゃんの表情を見つめた。すると、酸素マスクを付けられながら何かを俺に訴えている目線を…。あの祖母ちゃんが涙目で見つめていた。その表情を見た俺は、千紗伯母さんの静止を振り切って、祖母ちゃんの元に駆け寄って行った)
祖母ちゃん!なんだ!?俺は何をすればいい…
(厳の爺さんや医師達の静止も振り切って、祖母ちゃんの膝元に駆け寄った俺は、耳を祖母ちゃんの口元に近付け声を聞き取ろうとした。もう話す事もままならない祖母ちゃんの言葉を、俺は確かに聞き取った)
……に…い……さ…ま…た…ち…の…も…と…に…つ…れ……て…
(その言葉を聞き取り終えると、俺は勢いよく立ち上がり涙を堪えながら笑みを浮かべて、祖母ちゃんの車椅子の取っ手を掴んで廊下に出た俺は、お色直しの最中の菫に向かって大声で語りかけた。参加者達は呆然としながら俺の行動を見ていた)
菫!!花車文様の着物を持って来てくれ!!
(すると、俺の声に応える様に髪もまだ留めていない菫が長い髪をなびかせながら、廊下を母さんの吉兆文様の着物を着て、俺と縁祖母ちゃんの元に駆け寄って来てくれた)
それを祖母ちゃんの膝元に置いてやってくれ…簪もな…
(流石と言うべきか、菫は俺の注文通りに行動してくれると、俺に寄り添って共に祖母ちゃんを守る様にして、玄関に向かい始める。その時に菫は、愛娘の麗華にも声をかける)
麗華!いらっしゃい…行きますよ!!
(小百合お義母さんと一緒にいた麗華は、菫の声に応える様にして駆け足で近寄って来ると、菫の手を力強く握り、東雲家の屋敷の玄関を出て昼下がりの天河村に俺達親子と縁祖母ちゃんで、一足先に飛び出していた。玄関付近からは厳の爺さん達の俺達に向けられる、激昂の怒りの声を無視する様にして、俺達はあの場所に向かって歩き始めていった)
第十一話書き終えました。




