第二話 晴れやかな花を両手に乗せて
母さん、俺、天河村に訪れる事が出来て本当に良かったよ。あの村が、あの自然が、あそこに住まう方々が俺を変えるきっかけを作ってくれた…だからありがとう…ありがとうございました!!
(線香を添え終えた後に、屈んで母さん達に語りかけた後に俺はゆっくり立ち上がると、深々と母さんと父さんに頭を下げて、礼を述べた。あの火葬場で一人呆然と見つめた後に一礼した時と同じ様に、俺は心を込めた一礼をした。そして、母さん達に産んでくれた事に対する礼儀を通した)
≪必然的だったのかも…知れないわね。…私が樹さんと巡り合えた事も澪、貴方が菫さんと巡り合えて麗華ちゃんを授かる事が出来たのも、全ては偶然の様に見えて必然的な流れだったのかも知れないわね…≫
(目を閉じて母さんの言葉を聞いていた俺は、真夏の日差しの中、山々に囲まれた天河村に偶然立ち寄り、山の神々に誘われる様に山に入り、菫と出会った事を思い返していた)
確かに必然的な流れだったのかもしれない、でもな、母さんも父さんも自分達の意志で天河村を飛び出して、その幸せを勝ち取った。それは天命なんて言葉で片付けられる言葉とは俺は思えないな、人の思い、人の意志は、その人だけの物だ…だから俺は、菫と麗華と天河村の皆々様と幸せになるよ。そしていつの日か、また帰って来るよ…ここに…父さんと母さんと暮らした…この街にね…
(力強く母さん達に語り終えると、ゆっくり振り返って菫と麗華に視線を向けて、笑みを浮かべて語り掛ける。その笑みは冷たい笑みではなく、暖かな心を持った人が浮かべる笑みをしていた)
ご飯食べて帰ろうか?家で待ってる、誠伯父さんにお土産買ってね…
(麗華の両手を俺と菫が二人して握って、母さん達に挨拶をし始める)
また来るよ…それじゃ、行って来ます…
(菫も麗華も、母さんと父さんに笑みを浮かべて墓石に背を向けて、帰宅の途につき始める。その俺達三人の背に、両親から声が掛けられる)
≪幸せになりなさい。菫、麗華、そして…澪…私達はいつまでもあなた達の事を見守っていますからね。いってらっしゃい!≫
(曇空だった天気は雲の切れ目から、青空が見える程に晴天に変わり始めて来ていた。俺達三人は両親の声を聞きながら嬉し涙を流しつつ霊園を後にして、帰宅の途につき始める)
第二話書き終わりました




