第三話 予期せぬ事態の前触れ
なぁ…そろそろ話してくれないか?凛…景と四年前に何があったのか…
(電車を降りて景の住まいのマンションに歩いて向かう道中に、俺は隣を歩く凛に聞き始めていた)
……約束したんです…景さんの息子さんの駿君と…
(!?…凛の言葉に、俺は足を止めて驚いていた。あいつが結婚して子供がいるなんて、聞いた事はなかったからだ)
…あいつ…、結婚していたのか!?…
(俺の驚いた言葉に、凛は振り返り、大変驚いた表情で俺の事を見つめて来ていた)
澪さん、ご存じではなかったんですか!?…
(星川景とは、会社に入社してから出会った。それまであいつがどんな人生を歩んできたのか、知りもしなかった。関心がなかった訳ではない。あいつが自らの口で語って来るまで待っていた。だが、まさかあいつが結婚して、子供がいるとは思いもしなかった)
ここだな…景の住まいのマンションは…
(俺も景の住まいに来るのは初めてだった。隣にいる凛は、俺が景の内情を知らなかった事を知ってから、口を固く閉ざしてしまっていた。そして俺と共に、マンションを見上げていた)
行くか…
(凛の手を静かに握りしめてからマンションの中に入り、エレベーターに乗って景の部屋に向かい、インターホンを鳴らすと、静かに扉が開いて来た)
…誰…?
(扉が開いて言葉の主に目線を下に向けると、其処には小学校低学年位の男の子が、俺の事を見つめて来ていた。そして、俺の背後にいる凛の存在に気か付くと、元気な声で凛に語りかけて行った)
あっ…凛姉ちゃんだ!!…
(俺は親友の事を、ようやくこの日に知る事になる。過去に凛との間にも、何があったのかも知る事になる)
第三話書き終えました。