第十八話 伯父の威厳
(北条凛に連絡を入れて翌日の早朝出発の前、まだ凛は到着していなかった。東雲家の玄関前では、菫に抱っこされている麗華が、まだ夢の中にいるようだった)
千紗、お前は縁御婆様とここに残りなさい。縁御婆様を何回も行き来させるわけにはいかないからな…
(誠伯父さんだけが俺達に同行する事になった。理由は、縁御婆様を何度も行き来させるのは危険が伴うという理由だった。それには厳の爺さんも賛同してくれて、俺達が天河村を離れている間は、責任を持って縁御婆様を守ると誠伯父さんに伝えて来てくれた)
それにしても凛の奴は遅いな…
(俺がバイクのエンジンをかけて温めている時だった。一台の軽自動車が朝霧の中を、こちらに向かって走って来ている姿を見た)
来たみたいよ…
(今回、乗って行く車は誠伯父さん達が乗って来たワンボックスカーだった。その後部座席に、まだ寝惚け気味の麗華を乗せて、シートベルトを止めていた。菫が凛が来た事を皆に告げていた)
はぁはぁ…遅れてごめんなさい…荷物を纏めて居たら、遅れてしまって…
(凛は後部座席から荷物を引っ張り出してくると、ワンボックスカーの最後部の席にその荷物を乗せていた)
これで全員みたいだな。それでは縁御婆様、東雲厳様、澪のお目付け役と引っ越し作業をしに行って参ります…
(誠伯父さんは、南雲本家の長の南雲縁御婆様と東雲家の長の厳の爺さんに一礼をしてから、車に乗り込んだ。その姿は見事なものだった。そして俺は厳の爺さんの鋭い眼光に一礼してから、ヘルメットのメットを下げて、バイクを走らせて天河村に一度別れを告げる)
第四部はこの話で終わります。引き続き第五部もお楽しみに。