第十六話 愛を残して未来に旅立つ者達へ
またな…愛してるぜ…菫…
(裸で布団で眠る菫に語りかけながら、俺は霧深い早朝、東雲家を後にしようとした時だった。俺の背中に語りかけてくる声が聞こえて来た。その声に返答はせずに、俺は聞いていた)
我が孫を泣かしたら…、わしが自らお主の首根っこを掴みに行くからの…。必ず帰って来るのだぞ…婿殿よ…
(その言葉に、俺はバイクに跨ってヘルメットを深々と被ると、厳の爺さんに憎まれ口を叩いてやる)
アホが……俺は約束を守る事に関しては人一倍口うるせえんだよ……なら、アンタに頼むぜ…。菫の事を、守ってやってくれよな…。俺が帰る日までよ…。じゃあな…爺さん…
(メットを下げてバイクのエンジンをかけて、霧深い中を疾走して行く。その俺の背中に、山の神々からも声が掛る)
≪南雲家の子孫…南雲澪よ…此度の働き、見事であったぞ…貴方様がお帰りになる日を我ら心より待っておるぞ≫
(そんな山の神々からの声を聞いた俺は、山々に軽く手を振って疾走して行く。そんな俺の背中に、霊界の家族達、旅立った者達から声が一斉にかかった)
≪ありがとう…其方は一人なのではない。愛する者が出来て共に歩む者が出来たのだ。我らもこちら側で暖かく見守って居るぞ……我が息子よ…≫
(親父からの言葉を聞いた俺は、この村に訪れてからの事、菫、愛する者と出会った事を思い出していると、ヘルメットの中で涙を流し始めていた。そして、俺は両親の愛する者の土地を離れて、仕事の世界に戻って行った)
第十六話書き終わりました。
第三部終わります。




