表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
華やかな神々と人々の庭園  作者: 浅葱
第一部 運命の地での偶然と必然的な出会い     
10/105

第十話 南雲家と東雲家の秘密の心を込めて泣く涙

ここでお休み下さいませ、お食事の準備が出来ましたらお呼び致しますね。それでは失礼致します


(通された部屋は旅館の客間の様に綺麗に整えられていた。その部屋を呆然と見つめていると、菫は襖を閉めて何処に向かい始める。そして俺は荷物を畳の上に置きながら、ゆっくり腰掛ける。その時に俺に直接語りかけてくる声の波長を感じた)


≪澪様に対して顔向けが出来ないのですよ、あの女子は。昼間、貴方様にあの様な振る舞いをしてしまった事を自ら悔いながら、先ほどの男性の事が脳裏から離れないのでしょうな…≫


(山の神の波長と理解した俺は、一言この神に文句を言い始める)


…様付けは止めろ!!呼び捨てでいい…。様付けされる様な身分でもない


(俺の言葉にビックリした様な反応を見せると、山の神は父親と慕う守護神に、何かを問うて居た。それを理解する事が出来ずにいると、襖の外から別な女の声が聞こえてきた)


失礼致します。此度は娘が大変失礼な事をした様で、誠に申し訳ありませんでした


(少し歳めいた女性が着物姿で現れると、その女性は廊下で正座をしていて、俺に向かって頭を深々と下げて来ていた。その行為に俺は慌てて駆け寄ると、立ち上がってくれる様に頼み始める。その時、遠くから菫の声が聞こえてきた)


お母さん!!私がいけないんだから、お母さんは頭を下げたりしないで!!


(菫の言葉から、この女性が母親であると理解した俺は、なおの事立ってくれる様に切に願った。その言葉に、ようやく重い腰を上げてくれた事に俺は、この村に来てから始めて疲れて畳の上に腰掛けて、深くため息をついた)


はぁ…、本当にお前の家は苦労するな…


(俺の言葉に菫は恥ずかしそうに顔を逸らすと、母親の手を取って歩き始めると思いきや母親は、菫の手を振り払い、俺に近寄り、語りかけて来た)


山の神々様に大変な無礼を働いた西野の者との縁は、切らせました。それで何卒お許し願えませんでしょうか?々


(今度は俺にではなく、山の神々の一神に対する謝罪を申し出て来た。母親の言動に山の神々の一神は大変感服していた。だから再び俺は山の神々の一神に肉体を貸した)


≪其方のその礼儀と相手を深く思う心が、あの西野の若者にも其方のその心があれば、婚約は破談になど成らなかったであろうな…≫


(その言葉に俺は、山の神と菫の母親に一言言いたくなった為、強制的に会話に割り込んだ)


あの坊ちゃんと縁を切る事は、やり過ぎだと思うぜ?人には改心する心があるんだからよ。それによ、失敗を繰り返して人は成長するんだ。それなのに、たかだか礼儀を一度忘れた程度で縁を切るまでは、やり過ぎだと俺は思うね。人の成長を抑圧したら、あの坊ちゃんはぐれちまう。あいつはそこの女を想う余りに、感情的になっただけだろと俺は思うがね…


(誰かが遠くで拍手をしているように俺には聞こえていた。それが霊界に居る友とも知らずに、この時の俺は居た。そして山の神と母親は、共に考えた後に俺に語りかけて来た)


この歳になって教えられました。有難うございます!!


(山の神自身も、心の中で謝罪と感謝の気持ちを送って来ていた。そして母親は菫と共に、良い匂いのする方に歩き始めるも、何かを思い返した様に引き返して来た)


まだ名を名乗っていない事を思い出しました。私、あの子の母親の、東雲小百合(しののめさゆり)と申します。何卒よろしくお願い申し上げます。


(そして俺も母親に名乗ると、南雲家の名を聞いて驚きながら喜んでいるのか、それとも悲しみでなのか、母親は涙を流し始めていた。その光景を俺と菫は呆然と見ているしか出来なかった)

第十話書き終わりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ