表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エリア38  作者: 大酉剣治
7/10

第四生 中東 下

マフラディーンとシャオメイが闘います

第五生 中東 下


マフラディーン老人の首に伸びた、白紙のように白く、昆虫みたいに細い日本の腕は、当然シャオメイのものだろう。そのまま対象に巻き付き、締め上げる。

マフラディーンの顔からは南方人独特の血色が徐々に消え失せていく。だが、首を絞められたくらいで死なないのが、軍人のウザサというものである。

「甘いな、軍人は普通退職後も最低機関銃一丁は家の何処かに隠し持っているものなのだよ…来い、アフマディー!!!!」

その瞬間、屋内に一つしかない机と四脚しかない椅子、剥き出しの土の床(というか地面)が、激しく揺れた。俺と孔明は直感で屋外に出る。家は、床(地面)が抜けて沈んだ。代わりに、四本脚の蜘蛛のような重機が浮上した。

高さは9メートル程。色は白。やや煤を被って汚れている。

下に向かうほど太くなる脚。裏は吸盤になっているのだろう。

四本脚の中心には、野球ボールのような球体型の基部(胴体)。

頭には一機の砲台と一個の眼。肩にマフラディーン。

シャオメイはどこにいるのかわからない。

だがその直後。シャオメイは立ち上る黒煙の中、蜘蛛の後ろから10メートル程飛び上がって、マフラディーンに襲い掛かろうとする。素手だ。

だが(というかむしろ当然に)、蜘蛛の基部から飛び出した、黒い紐のようなもので本体に繋がれた矢尻のような武器に腹を抉られて鮮血で《半放物線》を描きながら、地面に叩き付けられる。

蜘蛛の砲口がシャオメイに向けられる。「シャオメイ!!」孔明と俺は同時に叫ぶ。

砲弾が放たれ、地面を抉る。だが、シャオメイは抉られていなかった。

砲弾を体操選手みたいに横に跳んで避ける。

そのまま彼女が砲台に追われながら逃げ廻るので、蜘蛛の周りは穴だらけになる。しかしそれは遊び。刹那、蜘蛛の鈍い反応を交わして、彼女は砲台の正面に飛び上がり、懐に隠していた手榴弾のピンを抜き、砲台にぶちこむ。砲台は内部から紅く膨れ上がり、爆発。電子脳を失い、立ったまま停止するマシン。戦いは終わった。

「お前、素手は無謀だ」

俺はシャオメイに言う。

「自殺する気かと思いましたよ」

と孔明。

「ふん、色目人に殺されたなんてボスに報告されたらおちおち死ぬことも出来ん」

普段とキャラが変わっている!?

「さあ、ジイサンも殺したことだ。還るぞ」

シャオメイは勝手に議決した。

だが、後々あの老人は生きており、何度も刃を交えることになるのである。


次回もよろしければ…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ