第四生 中東 上
中東行きました。
第四生 中東 上
エピソード名通りというか、俺は今中東にいる。俺が数日前から属している風変わりなレジスタンス組織の最大の敵と言えば、北緯38度以北の朝鮮半島朝鮮半島を占拠する軍事政権国家、北朝鮮なのだが、直接干渉するのは危険なので、同盟国と予想されるイランに居るのである。
現在地は、イラン共和国の某農村。目的は、その一角で、軍を退いたあと農夫として生活する一老人を訪ねることにある。
この辺は発展途上国にしては紛争も小競り合いもなく、食料資源にも恵まれている。衛生状態は万全とは言えないもののそんな環境で賢明に生きているのは農民の強さのお陰であろう。少し市街に出れば、市場もあり、交易もある。とにかく、ここは紛争国内にしては、比較的賑やかで、平穏な土地だ。
で、黄粘土製の日干し煉瓦で建てられた比較的立派な(この辺では)家屋に、老人は住んでいた。
サファヴィー・マフラディーン。元イラン共和国陸軍大佐。核貿易の他、二足歩行兵器や人間兵器などの開発に関する秘密もわずかに知っていると思われる。俺と数学少年(蘭孔明)はマフラディーン氏に面会した。最近は対人関係もほとんどなく、農業をする時以外は屋外にも出ず、食事も日に二回、ナーン数枚に塩をふって食べる程度であるという。だが、彼に面会を申し出たところ、向こうから進んでOKしてきた。で、今煉瓦家屋の中である。クーラーも扇風機も無く、あるのは最小限の家具とガラスも貼ってない小さな窓があるだけ。暑い…。
「確かに、私は軍に関わる多くのことを知っている。余り詳しい事は知らんが、私が知る全てを話そう。何を聞いても、驚かぬよう、聞いたそのことをそのまま真実として受け入れるように」
老人の口から語られる真実をお楽しみに…。