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エリア38  作者: 大酉剣治
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第三生 激突 下

まだ実験段階なのであまりきつく無い評価をお願いします

第三生 激突 下


包帯が剥ぎ取られた俺の右腕は、既に人の形をしていなかった。

錆びた銅のような紅い腕に山脈のように血管が浮き出(医療ミスで少し腐ってるらしい)、爪は鉄でできた鉤爪と化している。まあ俺は左利きだから問題無いけど…。

「へえ、ええ腕してはんな、兄さん」

一反凝結した空中鬼は、兎を睨んだ狐か、河馬を睨んだワニのように目を細め、ほとんど唇を動かすこと無くそう言った。

そして彼は再び気化し、うねるように(温度で判る)襲いかかる。

俺は右手の爪を、意識的に帯電させ、動くことなく、刃を構えて待った。

爪は今、レーザーのような青色を帯びて光っている。

殺気を帯びた気体が八方から斬りかかるが、その攻撃は届かなかった。

奴の攻撃は更に頑丈な防御(兼攻撃)に防がれた。

俺は右手を、周囲の空中に大きく円を描く形で振り回した。

周囲の殺気は消え失せ、さっきまで気体だった生物は細かな肉片となって、トマトの煮汁みたいな血液と一緒に堕ちてきた。一つの戦いが終わった。

「ターゲットを殺害。帰還します」

「ああ、出来れば生け捕りにして欲しかったんだけど、向こうも強いんだから仕方ないよね。まあいいよ、今度食事おごってくれればいいから、じゃぁ、還っておいでよ」

シャオメイが携帯越しにそう言った。

戦闘が終わってその翌日。俺達の隠れ家(どうやら国内)で、俺はつい数分前に開いたばかりの眼をこすりながら、シャオメイの作る朝食(馬鹿な俺に種類などわからないが確実に中華の麺類。氷がスープの中に浮かんでいるので冷たいものだろう。全体的に見て、脂っこいモノには見えない。麺は白色で平たく、インスタントのうどんのようだ)が出来上がるのを待っていた。というか、今食べた。

「ぎゃう、脂っこくない代わりに辛過ぎる!!」

「あっれ〜唐辛子の分量間違えたかな?いや、そんな筈ないよ、日本人は辛い食べ物が苦手なんだ」などと、調理室(というかごく庶民的な台所)に居て姿の見えない彼女に話し掛ける。

「いや、何というのか」

彼女は切り出す。

「あ?」

私は力無く返事する。

「こんな平和なんじゃ、今自分らが争いのど真ん中にいるとは信じられんわ」

「確かに」

「傷の手当、数学少年とメイリンが二人でやったから、ちゃんとお礼言っとくんだよ」

「了解っ」

昨日の自分が信じられない。そう思った朝であった。


読んで頂けただけで感謝です

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