第一生 日常崩壊
何処なのか丸分かりの国名とかありますけど、戦争モノだったらもっと過激なものもあるし、それが味に成ればと思う。
第一生 日常崩壊
東京への爆撃が止んだばかりである。
割と優秀な高校生である蘇我陶馬(以下俺とする)は校舎のシェルターから鼠色の曇天を覗き込む。今は自分を含む、少なくとも生きている生徒がここに避難している。まあ友達もいないし、就きたい職業はあるけど見込みは無いし、死んでも惜しい事はなかったが、其れが本能というものである。
まあ街が封鎖されてしまったので情報はないが、心当たりは一つあり、それだけである。
某敵国の金皇帝だ。違いねえ。
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留学生、凛・シャオメイとチェスをしていた時、彼女はとんでもないことを言った。
「実はね、僕には見えているんだよ」
「見えるって、何が」
「霊」
「ブぅッ!!!!!ゲッほゲッほ」
「間抜けな反応だな」
「いや、大概こうなるよ、お前以外」
「酷い暴言だ。人民解放軍でも呼んで殺ろうか」
「いや、君なら単独でロシア軍も倒せると思うよ」
「本題入って良い?」
「嗚呼どうぞどうぞ」
この前みたいに鳩尾蹴りを喰らっては堪らんのからな。
「じゃあ話そう。私が中国公安氏の娘なのは知っているな」「ああ」
自分の所為で日中戦争になることを随分恐れたものである。「で、ウチは軍部にも通じてるからそういう目にも遭うんだけど、人体改造されたわけよ。極限量子生命体、まあお化けが見えるようにね。最近はアメリカが幽体離脱した兵士を基地に送り込んで来るようになったから、それに対抗してね。あ、あと中等部の天然短茶髪のあの小柄な男の子は実際に幽体離脱もできるからね」
あぁ、蘭孔明か。あの憎たらしい数学少年。で、
「あの、もしもし今僕の日常はどのような方向に向かっているのですか!!!???」
「戦争に巻き込まれようとしてるよ」
あ、そうですか。
で、現在シェルター内。周りにも迷惑を掛けてしまった。
「ピコピコピコピコ」
突然鳴った味気無いテクノ効果音を探り、胸ポケットから携帯を取り出して画面を見る。全部漢字(というか中国語)の文章を読む。
《郊外に逃走ヘリを用意した。》
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