綺麗な大人な女性
「 はい 」
私は、ゆっくりとドアを開ける。
目の前には、綺麗な大人の女性が立っていた。
「 はじめまして。私はここの家政婦をしております。涌井といいます。皆からは、せっちゃんて呼ばれてますよ!」
「 か、家政婦さん!?家政婦さんもいらっしゃるんですか? 」
「 えぇ。こちらはお食事の時間とお掃除の時間、それぞれ共有スペースに貼り出されておりますので、ご確認下さいね!それでは 」
もしかして、ご飯も付いてるって事なの??
掃除もしてくれるなんて、こんな場所、絶対に怪しいし、普通じゃない。
あの人、家政婦さんなの?
上品そうな、綺麗な大人の女性だった。
ここは、一体何なのだろう。
家賃いらないって言ったり、家政婦さんがいたり。家具家電も付いて、ホテルみたいな部屋だったり。
こんな天国みたいな場所に来れたのは、奇跡が起きたとしか思えない。
あのシャッターに貼られていた貼り紙も。
他に見ている人は、いなかったのか。
謎だらけの人達と謎だらけのこの場所。もしかしてもう家には戻れないとか?
私は、もう帰る事ができないかもしれないと思い、お母さんにメールをしはじめた。
『 お母さん、新しい住む場所決まったよ!また連絡するから心配しないでね 』
心配性のお母さんには、本当の事など話せるわけもない。
私は、謎だらけのこの場所が気になり始めていた。
他には一体、どんな人達がいるのだろう。
他の住民の方にも、話を聞いてみなきゃわからない。
オーナーもどんな人なのか、知りたい気持ちにもなっていた。